体外受精後のP4の値が低いです。

薬を服用しても黄体ホルモンの値が改善しないのはなぜ?

生田 克夫 先生 名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教 授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名 古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。 地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年から体外受精の現場を歩い てきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。「患者さん のストレスを減らしてあげることが大事」と考える先生の診察は、「わからない ことは全部聞いてもらう」というスタイルのため、どうしても診察時間がずれ 込んでしまうのが目下の悩みだそう。
にゃめさん(38歳)からの相談 Q. FSH/HMG刺激法にてHMG、アンタゴニスト注射で誘発し7月20日に採卵、11 個採取で体外受精した6個と顕微授精した4個が受精卵となり、7個が胚盤胞に育った ため、7月25日に新鮮胚で1個戻しました。その際に、自覚はなかったのですが腹水を 指摘され、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の可能性もあると言われました。 その日からエストロゲン製剤と黄体ホルモン内服液を服用していたのですが、OHSS の兆候はまったくなく、7月30日の診察でP4(黄体ホルモン)が3.75の値を示して いました。薬を服用しているのにP4の値が低いのはどういうことなのでしょうか? 基 礎体温は36.79~36.90度C程度で、子宮内膜は採卵前のデータですが10と言わ れています。身長:169㎝、体重:69㎏です。

状況から判断すると…

まず、にゃめさんの治療経過をご覧になって、気になるところはありますか?
生田先生 卵巣の可能性はある方だと思います。
11 個採卵したうちの7個が胚盤胞になるというのは、かなり質のいい卵子だといえます。
年齢の割にはいい卵が採れているといえます。
卵子が 11 個採れたということは、おそらく卵胞が 15 個近くあったと思うので、多少は腹水が溜まったり卵巣が膨らんだりすることがあっても、おかしくはないですね。
P4 の値が低いことを気にされているようですが、3・ 75 という数値はいかがでしょう。
生田先生 HMGでたくさん刺激して、その後に一切刺激をなくしてしまったので、ホルモンが一気に下がったのだと思います。
おそらく切り替えの時に、点鼻スプレーのアゴニストを使ったのではないでしょうか。
これはもともとのLH(黄体化ホルモン)を引き出すだけで、卵巣を刺激する作用は非常に弱いので、数値は一気に下がってきます。
採卵から10 日後の診察でプロゲステロンが3・ 75 というのはあり得ると思いますね。
それで足りない分をプロゲステロンの注射 や飲み薬で補うわけですが、にゃめさんにも処方されている一般的なプロゲステロンの飲み薬は、もし大量に服用したとしても構造が少し違うものなので、血液中の値に反映されないのです。
内服薬を服用しても P4 の値が低いのはそのためです。
このこと自体は普通にあり得ることなので、まったく問題はありません。

OHSS?

OHSSの可能性を指摘されたそうです。
生田先生 にゃめさんは身長も体重もあるので、OHSSで腹水が溜まるタイプではないので、卵巣が腫れても、お腹がちょっと張ってウエストがきつくなるというくらいではないでしょうか。
OHSSで腹水が溜まりやすい人は、痩せていて小柄な人が多いのです。

心配しないでイイ!

そうすると、治療法としてはこのまま進めていっていいということでしょうか。
生田先生 いいと思いますよ。
新鮮胚で移植する時は、どうしてもホルモンが一気に落ちます。
HCGを使うと、注射して5~6日あたりから1週間の間に 10 分の1くらいまで、数値が下がる人は本当に下がってしまうんです。
卵巣刺激の方法はいろいろあるので、どの方法が適しているのかは卵子の質などを見ながら変えるのがいいと思います、にゃめさんは胚盤胞が7個もできたということですから、今の方法を変える必要はないのではないでしょうか。
顕微授精が必要かどうかはちょっとわかり ませんが、精子の運動率もいいので体外受精でいいと思います。
あとは、この方法でうまくいかなければ、凍結してある受精卵を戻していくということで妊娠は十分期待できると思います。
胚の質も悪くなさそうですから。
にゃめさんは年齢的にもまだ 38 歳ですし、ご本人が気にされているほど心配はないと思いますよ。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。