40㎜以上の大きな卵胞で排卵した卵子受精能力はありますか?【医師監修】

【医師監修】秋山 芳晃 先生 東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国 立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊 専門病院として新たに開業。O型・やぎ座。忙しい合間をぬい、 先日、パンダで有名な和歌山県のアドベンチャーワールドへご家 族で行かれたそう。小学校 2年生の娘さんよりも先生が一番パン ダに夢中だったそうです。
すいかさん(31歳) Q.Day11に卵胞チェックに行ったら卵胞径が18㎜で、あと2日で排卵す るとのこと。Day14に確認したら35㎜でまだ排卵せず、排卵を促すた めにHCGの注射を打ちました。Day18に再度確認したらすでに排卵済 みで、残った卵胞は43.5㎜の大きさでした。あまりの大きさに驚いたの ですが、担当医は「大丈夫」というだけで……。そこで質問ですが、大 きな卵胞で排卵した卵子に受精能力はあるのでしょうか。もし妊娠した 場合、胎児に異常が出ることはありませんか? 巨大卵胞は悪いことな のでしょうか。悪いことだったら何か改善策はあるのでしょうか?

卵巣の機能性嚢胞

すいかさんは、残った卵胞の大きさが 43 ・5㎜もあったそうですが、これはどういうことなのでしょうか?
秋山先生 これは、いわゆる卵巣の機能性嚢胞という状態ではないでしょうか。
機能性嚢胞には「卵胞嚢胞」と「黄体嚢胞」の2種類があります。
通常は、胞状卵胞という卵子の入っている袋が1日に約2㎜程度の割合で大きくなり、直径 17 〜 25 ㎜ほどで排卵に至るとされています。
この過程では、卵胞から分泌されるエストラジオールというホルモンが上昇していき、ピークに達すると脳が刺激され、LH(黄体化ホルモン)が大量に分泌されます。
LHの増加が始まってから 32 〜 36 時間、ピークから 10 〜 12 時間程度で排卵が起こるとされているんですね。
何らかの原因でLHの増加が不十分であったり、卵巣側の反応がうまくいかないと卵胞の破裂が起こらず、卵胞嚢胞へと変化していきます。
また黄体嚢胞は、一度破裂した卵胞が再び閉じてしまい、その中に水などの液体が溜まってできると考えられています。
この黄体嚢胞と、卵胞が破裂せずに黄体化し、基礎体温などで一見排卵しているように見える状態の黄体化未破裂卵胞を見分けるのは困難です。
すいかさんの場合、 14 日目の大きな卵胞はすでに卵胞嚢胞であった可能性があると思われます。
また、 18日目にどのような方法で「すでに排卵済み」と確認されたのかわかりませんが、もし基礎体温の上昇や黄体ホルモンの増加が確認できたとすると、黄体嚢胞が形成されたか、黄体化未破裂卵胞であったことも考えられるでしょう。

胎児への影響など

このような卵胞で妊娠して、胎児に影響が出る心配はありますか?
秋山先生 この状態で排卵した卵子の状態を実際に確認することはできませんが、適切な時期に排卵しなければ卵胞内の卵子は過熟(老化)して受精能力が落ち、妊娠が成立することはほとんどないと思われます。
残った卵胞はどうなるのですか?
秋山先生 大抵の場合は、次の生理が来るとリセットされ、自然に消えていきます。
毎回このようなことが起こる可能性は低いと思いますので、特に対処は必要ないでしょう。
何かするとしたら、まめに卵胞測定をして、必要であればホルモンの測定などを行いながら、HCGやGnRHアゴニストなどで排卵の引き金を引いていくということでしょうか。
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