2度の流産後、検査で甲状腺異常が見つかりましたがどう付き合えばいい?

甲状腺機能の低下は妊娠にどう影響するのでしょうか? 甲状腺の病気と不育症の関係について 幸の鳥レディスクリニックのささ山先生に伺いました。

ささ山高宏先生 産業医科大学医学部医学科卒業。産業医 科大学病院、和歌山労災病院、九州労災 病院、セントマザー産婦人科医院の勤務を 経て、1997年4月、幸の鳥レディスクリ ニックを開業。患者さんを一人ひとり大事 にする姿勢で生殖医療に携わる。A型・お ひつじ座。自転車が趣味の1つという先生。 今回は、お気に入りのロードバイクと一緒 に撮影。「風を切って走っている時が幸せな んよ」と笑顔で語ってくださいました。
さくさん(30歳)Q.私は2 度の流産後、不育症の検査で甲状腺異常が見つかり、内科に通院して います。4カ月前、甲状腺機能亢進症(バセドウ病は否定)を診断されましたが、 比較的症状が軽かったため、服薬なしで経過観察のみでした。現在は甲状腺 機能低下症に移行し、冷えや体重増加に悩んでいます。流産前は生理周期が 長めの 40日、男性不妊で不妊治療に通っていました。現在の周期は29日に なりました。甲状腺の数値と排卵は関係あるのでしょうか?  甲状腺の病気と不妊治療、どう付き合っていけばいいのか悩んでいます。

甲状腺ホルモンとは?

甲状腺について教えてください。
ささ山先生 甲状腺ホルモンは、いろいろな臓器が正常に働くように調節する役割をしています。
甲状腺ホルモンが出すぎると、それぞれの臓器が頑張りすぎる状態になります。
心臓が動きすぎて脈拍が速くなり動悸が発生します。
熱がたくさんつくられ、汗が異常に出ます。
逆に不足すると、臓器の動きが鈍くなります。
心臓の動きはゆっくりになり、徐脈になったり、体温が保てずに冷えに悩まされる場合があります。
脳の動きも鈍くなり、眠気が強くなったり、やる気が出なくなり、腸の動きも悪くなり、便秘などの症状が出ます。
そして、甲状腺ホルモンが不足すると卵胞が育たず排卵が起きません。
また、間接的にプロラクチン値が高くなり、排卵しなくなることもあります。
逆に、過剰に出ると卵胞の成長が速くなり、排卵が早まり月経周期が短くなります。

甲状腺異常と流産

不育症とも関係があるのですか?
ささ山先生 甲状腺の病気の人が流産しやすいのは事実です。
甲状腺機能亢進症でも低下症でも、流産に関わります。
また、胎児の成長や新生児の状態にも影響しますので、甲状腺ホルモンの値が正常になるよう、主に内服薬で治療します。
しかし、ホルモンの値が正常になっても、流産をくり返す可能性もあります。
バセドウ病や橋本病などの多くの甲状腺の病気は、免疫バランスが崩れ、甲状腺に対する自己抗体ができることが原因です。
バセドウ病は、甲状腺を刺激する自己抗体が体の中につくられ、甲状腺ホルモンがたくさん出てしまいます。
橋本病は、甲状腺を攻撃する自己抗体が体にでき、甲状腺の組織が壊れて甲状腺ホルモンが不足します。
つまり自己抗体が悪さをする自己免疫疾患です。
ですから、甲状腺に対する自己抗体だけでなく、抗リン脂質抗体などの不育症の原因となる自己抗体を併せ持っている可能性があります。
甲状腺ホルモンの量が直接流産の原因になるのかはわかっていません。
甲状腺の治療を進めると同時に、抗リン脂質抗体などの不育症の原因となる自己抗体の検査も必要です。
 さくさんは、亜急性甲状腺炎か、無痛性甲状腺炎だと思います。
熱と前頸部痛をともなっていれば亜急性甲状腺炎で、そうでなければ無痛性甲状腺炎。
いずれも甲状腺ホルモンが一時的に上昇し、その後、甲状腺機能低下をきたしても、ほとんどの症例で自然に回復します。
流産してしまいましたが、2回妊娠できていますので、強い不妊要因はないと考えられます。
バセドウ病や橋本病による慢性的な甲状腺ホルモン異常ではないし、不育症の検査では甲状腺異常だけで、他の自己抗体もないようですので、症状の回復後、定期的に検査を受けながら、怖がらずに早めに妊娠することが一番だと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。