2回初期流産しています。今後どんな治療をするべき?

初期流産が2回続いたのは習慣性流産なのでしょうか? 受けたほうがいい検査や今後の治療について はらメディカルクリニックの原利夫先生にお聞きしました。

原 利夫 先生 1983 年、慶應義塾大学大学院医学研究科修了にて医学 博士学位を取得。同大産婦人科助手時代、日本初の凍結 受精卵ベビー誕生の一員として活躍。その後、東京歯科大 学市川病院講師、千葉衛生短大非常勤講師を経て、1993 年はらメディカルクリニックを開院。学生時代から手品を始 め、現在も趣味として続けているそう。今年 8月には手品 の大会にも出られるとか! 「お札を使った手品をする予定 で、忙しい合間にも時間を見つけて練習しています」。

ドクターアドバイス

3回目の移植をする前に、検査で 原因を探してみたほうがいいでしょう。 子宮鏡検査がおすすめです

Hinaさん(36歳)Q.今までに2 周期連続で凍結胚盤胞をホルモン補充療法(人工周期)にて移植し、2回と も初期流産しました。これからどうすればよいか悩んでいます。 まずは習慣性流産の検査を受けてみたほうがいいのでしょうか。検査内容のうち、保険適 用範囲内の検査だけをひとまず受けるのも有効なのでしょうか。 あるいは、もう一度だけ移植してみたほうがよいのでしょうか? その場合、ホルモン補充 療法か自然周期、どちらで移植したほうがよいのでしょうか。次回は6日目胚盤胞 5BAか 4BCを移植予定です。連続で2 周期移植し、妊娠はしたので、生理は以前通りではあり ませんが、移植前までは周期はほぼ正しく、体温も二相でした。

Hinaさん のデータ

■検査・治療歴

卵管摘出している。 これまで凍結胚盤胞を ホルモン補充療法にて2回移植。 2回とも初期流産。 現在も胚盤胞を凍結中。

■現在の治療方針

次回は6日目胚盤胞5BAか4BCを移植予定。 葉酸、ビタミン類のサプリメントを服用中。

初期流産と着床不全

2回の初期流産をされていますが、習慣性流産なのでしょうか?
原先生 初期流産とのことですが、それはどのくらいの時期だったのでしょう。
初期流産といっても、胎児が見える場合の初期流産と、胎児が見えない場合の初期流産は違います。
胎児が見えていた場合の初期流産は、胎児の染色体異常が原因なので、現在のところは防ぐ方法がありません。
しかし、胎児が見えていない状況で着床状態が悪かったり、初期といっても生理が遅れてまだ1週間くらいの時期だった場合は、着床不全という形になると考えられます。
2周期連続で移植されたということは、おそらく本当の初期だったと考えられます。
そう考えると、Hinaさんの場合は不育症・習慣性流産ではなく、着床不全になります。

着床不全の検査

では着床不全の場合は、どのような検査をしますか?
原先生 当院では、「1次スクリーニング」、「2次スクリーニング」と分かれていて、1次で抗リン脂質抗体検査、血液凝固検査、甲状腺検査、子宮鏡検査などを行い、着床不全の疑いがあれば2次に進みます。
この検査は、一部は保険が適用されますが、病気の検査ではないので適用されないものが多いです。
しかし、原因を特定するためには、一部だけではなく、すべての検査をしたほうがいいと思います。

原因把握と移植方法の改善

もう一度移植するかどうかについては、いかがですか?
原先生 基本的には、2回の移植で妊娠されていないので、再度移植するよりも原因を探したほうがいいと思います。
3回目の移植をする前に、少なくとも子宮鏡検査だけは行ったほうがいいのではないでしょうか。
受精卵や胚盤胞が着床しにくかったり、発育が悪いと流産してしまうわけですが、それは子宮の中のトラブルが原因の場合が多いのです。
そこで子宮鏡検査をすれば、子宮内膜炎や子宮内膜の癒着、子宮筋腫、ポリープ、子宮奇形などの有無をすべて確認することができるのです。
検査の方法は、先端に小さなカメラのついたファイバースコープを子宮口から挿入し、高濃度液を子宮内に流しながらモニターで子宮内腔を観察します。
スコープの直径が約3㎜と細くやわらかいので、検査にともなう痛みが少なく、麻酔も必要ありません。
短時間で簡単にできて効果が高く、次の治療にもつながりますし、病気が見つかれば、保険も適用されます。
また、子宮鏡で子宮の中を少しひっかいて傷をつけると、妊娠しやすい状態になるということがあります。
子宮に少し傷がつくことで、着床促進因子が呼び起こされるのではないかと考えられています。
着床促進因子についてさらにご説明すると、SEET(シート)法という、移植前に子宮内に培養液を入れてあげる方法や、最近はHCGを注入する方法、また、ヒアルロナン培養液を用いる方法が注目されています。
このような方法で受精卵と子宮内膜のコミュニケーションがうまく取れて子宮内膜の状態がよくなり、着床・妊娠しやすくなると考えられています。
Hinaさんの場合、まずは子宮鏡で検査と少し傷をつけることを行い、その後さらにSEET法やHCG製剤を入れる方法で着床を助けるといいのではないでしょうか。

着床環境を整えよう

ホルモン補充療法と自然周期についても教えてください。
原先生 ホルモン補充療法は、何種類かありますが、基本的には人工的にいい内膜をつくるのが目的です。
そのために自然周期と同じようなエストロゲンプロゲステロンというホルモンを投与します。
目標としては、受精卵を戻す時にプロゲステロン値が 15 以上、内膜の厚さが 12 ㎜以上が理想です。
そこに、理論上の排卵から5日目か6日目に胚盤胞を戻す方法です。
自然周期は、自然の排卵から5日目に戻す方法ですが、うまく排卵しなかったりすると戻せない場合があります。
また、自然周期といっても何もしないわけではなく、黄体機能不全が起こりやすくなるので、プロゲステロンなどを補充します。
戻すことができれば、自然周期もホルモン補充療法も妊娠率は変わりません。

ホルモン補充周期のメリット

Hinaさんの場合、次回はどちらの方法がいいのでしょうか?
原先生 排卵障害がある場合は、ホルモン補充療法がいいでしょう。
それともう1つ、ホルモン補充療法のメリットは、生理が始まると戻せる日にちが決まるので、スケジュールが立てやすいことです。
そのため、働いている方はこの方法を選ばれることが多いですね。
どちらの方法にするかはそれほど気にしなくていいと思いますし、Hinaさんの場合は、前回ホルモン補充療法でうまくいかなかったから今回は自然周期でやってみるなど、担当の先生とご相談して決めるのがいいと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。