不妊治療後に2人目妊娠?専門病院から一般病院に転院しても大丈夫ですか?【医師監修】

【医師監修】藤野 祐司 先生 大阪市立大学医学部卒業。米国留学、同大学医学 部婦人科学教室講師を経て、1997年にクリニック を開業。現在、同大学で非常勤講師も務める。B型・ おとめ座。たまの週末に、気分転換を兼ねて料理 を作るという先生。最近、挑戦したのは手羽中の 素揚げ。ポイントは「油が熱くならないうちに入れる こと」だそう。カレーに始まり、炒め物、揚げ物と、 ご自身のレパートリーが増えていくのも楽しいそう。
夢!さん(33歳)からの投稿 Q.排卵障害があり、1人目はクロミッドⓇ1日2~3 錠で妊娠・出産。しかし、2 人目はクロミッドⓇ1回20錠でも妊娠できず、不妊治療専門病院へ。クロミフェ ンや卵胞を大きくする注射、排卵させる注射をして、何とか排卵。生理が来な いので、もしかしたら妊娠した? という感じです。ただ、その病院は遠くて通 うのが大変。実家に子どもを預けて健診するには、近くの産婦人科がいいので す。この場合、紹介状をもらわずに近くの産婦人科に妊娠検査に行っても大丈 夫でしょうか? 勝手に病院を変えるべきではないでしょうか。

二人目不妊の4つの理由

夢!さんのように、2人目不妊で治療されているという方は多いのでしょうか?
藤野先生 そうですね、当院にも多くいらっしゃいます。
その理由として4つのことが考えられます。
1つ目は加齢。年齢とともに卵巣に残っている卵子の数が減ってきます。
それにともなって、抗ミュラー管ホルモン(AMH)が低くなると言われています。
そうすると排卵誘発剤にも反応しにくくなります。
ただ、この方は 33 歳と若いので、2人目の妊娠の可能性は十分ありますよ。
2つ目は、1人目の出産時の状況。
たとえば、陣痛や分娩中に何らかの問題が起きて、帝王切開になってしまったケースです。
手術後の癒着などにより、卵管のピックアップ障害が出て、うまく受精しないといったことが考えられます。
3つ目は、育児にともなうストレスです。
育児はかなり重労働です。
体外受精する場合でも、お子さんを連れて通院するにも、誰かに預けるにも、多かれ少なかれ体力的、精神的な負担がかかります。
そのため、妊娠しようとしてもうまく着床しなかったり、流産してしまうようなリスクが起こりやすくなります。
4つ目は、生活習慣病です。
お子さんのために1日3食の食事をきちんと作り、食べ残したものを、もったいないからとつい食べすぎてしまうような場合です。
そのうえ、この方のように多嚢胞性卵巣症候群の素因があると、食べすぎがカロリーオーバーを招き、卵巣機能を低下させることも考えられますね。

薬は変えていくべき!

夢!さんは、クロミッドⓇ 20 錠でも排卵しなかったそうですが。
藤野先生 クロミッドⓇはもちろん、薬はすべて、最初の使用が一番効果的なのです。
体に対するどんな刺激も、回数を重ねると効果が低下します。
ですからクロミッドⓇの効果が出なければ、セキソビットⓇHMG製剤といった、別の薬を使うことも一つの選択だと思います。

専門クリニックのメリット

専門病院から一般病院へ転院されたいということですが、これについてはいかがでしょうか。
藤野先生 まず一般病院に比べて、不妊治療専門の病院は、排卵、不妊に関する専門知識と経験の引き出しが多いことと、診療日の制限が少ないという点で、フットワークの軽さにメリットがあります。
個人的には、特殊な不妊治療でなければ、一般病院に転院されてもいいと思います。
基礎体温表を持参して、ご自分である程度の治療経過もわかりますよね。
ただ、最近の大学病院や総合病院は、予約制をとっている施設が多く、場合によっては診察が予約の1カ月先という場合もあります。
そういった点では、紹介状があるほうがいいでしょうね。
予約が取りやすく、初診料などを含めた経済的なご負担が、若干少なくなることも考えられますので。
※クロミッドⓇ:排卵誘発薬の1つ。
※セキソビットⓇ:排卵誘発剤。視床下部もしくは脳下垂体前葉に作用して、卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンの産生・分泌を促して、排卵能を高める。
※HMG製剤:注射剤の排卵誘発剤。閉経後の女性の尿から精製して作られた卵胞刺激ホルモン。黄体化ホルモンを含み、卵胞の発育・成熟を促す。
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