女性の年齢と卵巣予備能力、精子の状態、治療回数、不妊原因を総合的に加味して考えています

蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口 大学大学院修了。山口県立中央 病院産婦人科副部長、済生会下 関総合病院産婦人科部長を経 て、1990 年オーストラリア・ PIVETメディカルセンターへ留 学。帰国後、1995年蔵本ウイ メンズクリニック開院。O型・お うし座。多忙のなかで、8月に 上海万博で休日を楽しめたそう。 「高層ビル群も迫力でしたが、私 は昔ながらの古き良き下町が好 きでしたね」。

年齢と卵子の質の関係

女性の年齢が高くなると、早くステップアップしなくては、と焦る方も多いようですが。

蔵本先生 確かに、妊娠率に最も影響するのは女性の年齢です。

女性は、生まれた時には約200万個の原始卵胞を持っていますが、徐々に減少し、 37 歳以降はさらに急減します。

数だけではなく、加齢とともに卵質も低下しはじめます。

どんな不妊治療を行っても、高齢になればなるほど妊娠率は確実に低下します。

実際に患者さんから卵子がどれくらい採れそうか、卵巣がどれくらい機能しているのかを調べるために、当院ではまず検査の段階で、①月経初期(2〜3日目)の小卵胞数、②血中のAMH値、③月経初期のFSH値をみます。

この結果、AMHが 10 以下、FSHが 10以上続くという状況であれば、卵巣機能が低下しつつあるため、ステップアップを早めるようにすすめています。

ステップアップの基準

先生の病院でのステップアップを教えてください。

蔵本先生 まずは、さまざまな検査を行い、データを蓄積すると同時に、異常があれば治療をします。

その時点でステップアップが必要ならその理由についても説明し、次の段階に進みますが、いきなり体外受精というのはないですね。

タイミング法の場合は3〜5周期は行っています。

タイミング法で妊娠される方は3回目までで 77 %、5回目までで 93 %ですが、これも 35 歳以上ならば少し早めます。

これで妊娠に至らなければ、人工授精を3〜5回行います。

当院のデータでは人工授精で妊娠される方は2回目までで 68 %、4回目までで 93 %。

しかし、これも 40 代ではぐんと下がるため、2〜3回で次のステップに進むことを提案します。

男性因子のステップアップ

男性側に原因がある場合はどうでしょう?

蔵本先生 精子の数が少ない、運動率がよくない、奇形率が高いなど、精子の状態が悪いと受精率が低下することが予想されるので、ステップアップを早めていきます。

精子の状態は毎回相当変動するものですから、一度の検査で基準値を下回った場合は必ず再検査を行い、確認します。

そのうえで、総運動精子数が500万個以下であれば、体外受精へのステップアップを早めるようおすすめします。

体外受精の場合は、今までのデータに基づいて体外受精にするか、顕微授精にするか、一部併用にするかなど、十分に受精すると考えられる治療を選択します。

これが私の考えるステップアップの基準ですが、あくまでも患者さんの同意あってのこと。

当院では初期に治療計画を立てて、患者さんに渡しています。

途中、データを見ながら変更していくこともあります。

いずれにしてもステップアップの理由と治療内容の説明を十分に行い、患者さんが納得したうえで治療を行うことを大切に考えています。

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