「原因不明の不妊」という判断基準は?【医師監修】

【医師監修】蔵本武志先生 久留米大学医学部卒業、山口大 学大学院修了。山口県立中央病 院産婦人科副部長、済生会下関 総合病院産婦人科部長を経て、 1990年オーストラリア・PIVET メディカルセンターへ留学。帰国 後、1995年に蔵本ウイメンズク リニック開院。O型、おうし座。「ど んなに高い壁があっても絶対にギ ブアップしない」というのが信条。 趣味はミュージカルやアクション 映画観賞で、 DVDを一気に80 本観てしまったこともあるという、 何事にも全力投球の先生!
みどりさん 34歳  Q.不妊治療3年目に原因不明という診断を下され、 まもなく体外受精を控えています。 本当に原因はないのか、もう一度相談したところ、 今まで普通の体重だからと行っていなかった ブトウ糖負荷試験をしたことで、高インスリン 血症の結果が判明。 「今ごろ、 何で?」と疑問を 抱いています。一般的にどのような検査を行って、 原因不明という判断基準をとっているのでしょうか?

高インスリン血症とは?

はじめに「高インスリン血症」とはどのような疾患なんですか?
蔵本先生 高インスリン血症とは、インスリン抵抗性がある方で、膵臓でインスリンが過剰に生産されてしまう状態です。生活習慣病といわれる糖尿病発症のきっかけになることもあり、ひどい場合は排卵障害を引き起こすことも。 ※ 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方がこの状態を伴うケースが多いですね。
初期の段階でこの疾患の検査をすることは少ないのでしょうか。
蔵本先生 残念ながら、全員の方に実施することは少ない検査です。肥満が強い方や月経不順でPCOSの疑いがある方には検査を行いますが、この方のように平均的な体重でPCOSでもない場合は、なかなか見つからないということもあります。

不妊治療の一般検査

この方は不妊治療を3年続けられたそうですが、一般的にどんな検査を経て診断を下すのでしょうか?
蔵本先生 私のクリニックでは、①基礎体温の測定、②ホルモンの基礎値の測定、③卵管の疎通性検査、④排卵前の超音波検査とヒューナーテスト、⑤高温相での黄体ホルモン検査、⑥子宮がんとクラミジア検査、他に男性側の精液検査、が基本となります。
かかる期間はどのくらいですか?
蔵本先生 1回の検査で異常が出たら、必ずもう一度検査をして判断しますが、それでも2ヶ月程度で終了ます。
その後、治療はタイミング法、人工授精とステップアップして、できれば1年で結果を出せるようにしています。

原因不明の不妊とは…

人工授精の段階までいっても原因不明ということもありますか?
蔵本先生 実は、タイミング法や人工授精では受精したのかどうかはっきりとわからないのが現状なんですね。体外受精にステップアップすれば、受精の有無は判明します。
この方の場合、やはり体外受精に臨むのが正しい選択でしょうか。
蔵本先生 すでに3年間治療を続けられたということですから、もしかしたら高インスリン血症以外の原因もあるかもしれません。お薬で異常な状態を改善した後、原因を解明して先へ進むという意味でも、体外受精は考えられてもいい方法だと思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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