二人が同じ気持ちで乗り越えた治療

3年かかった私たちの道のりはきっと、 赤ちゃんを迎えるための準備の時間。

〝もういいよ〞という時期に来てくれたんだと思います。

「夫に赤ちゃんを抱いてほしい!」 その強い思いで頑張った3年間。

4度の人工授精、1年間の治療休止、 そして3度の顕微授精を経て、 そのときはやって来ました!

この人の子どもを 産みたい!

pipiさんがご主人と知り合ったきっかけは紹介、いわゆるお見合いでした。ご主人側の 「同郷の人をお嫁さんにしたい」という希望で出会った二人ですが、すぐに意気投合。

「私にとって、運命の人だったのでしょうか。彼と会った瞬間にビビッと来て、〝この人の子どもを産みたい〞って思ったんです」

半年のおつき合いを経て、pipiさん 33 歳、ご主人 34 歳のときに二人は結婚しました。

「1日でも早く子どもが欲しい」というのは二人の共通した意見。pipiさんの年齢のことも考え、「もし1年経ってもできなかったら、病院へ行こう」というのは、結婚当初から決めていたことでした。

その「もし……」が現実となり、いつまでたっても妊娠の兆候が表れず、p ip iさんは、地元の産科を訪れます。

「子宮卵管造影検査をはじめ、一通りの検査をしましたが、不妊の原因となるような問題はなし。主人も検査を受けましたが、精子の運動率が低めと言われたくらいでした」

排卵誘発の注射をしながら半年ほどタイミングをとっていましたが、一向に結果が出ません。

「私は自分の年齢のことが気になっていたのですが、先生からその話はまったく出ませんでした。それで、このまま雲をつかむようにタイミングだけを続けていくよりも、早く不妊治療の専門医に診てもらったほうが近道かもしれないと思い、迷うことなく転院を決意したんです」

2005年 11 月、 34 歳のときに都内の不妊治療専門のクリニックに転院。ご主人の精液の状態が少し気にかかっていたので、インターネットで調べて、男性不妊にも強い施設を選びました。

そして、このクリニックでもご主人の精液検査を実施。

「やっぱり元気のある精子は少なかったけど、治療はしなくても大丈夫、と言われました」

度重なる精液検査で思わしくない結果が出ると、男性はひどく落ち込んだり、やけになってしまうこともあります。でもpipiさんのご主人は前向きでした。

「自分に原因があるからこそ、逆にできる治療は何でもやろうよ、と積極的な気持ちでいてくれました。主人も〝子どもが欲しい〞という希望が強く、二人の気持ちにぶれはなかったんだと思います」

1周期目のタイミングをとった後、pipiさんは医師に「もう人工授精を始めてください」と申し出ます。

「これでできるかも……」と期待を持って臨んだ人工授精でしたが、1回目の結果は失敗。その後、3回人工授精に挑戦しますが、いずれもよい結果は出ませんでした。

「明確な不妊原因がないのに妊娠しないというのはつらいことでしたが、だからこそ、妊娠の可能性がある、と考え、あまり落ち込むことはありませんでした。人工授精に失敗すると『生理が来たらまた予約してください』と言われるんですが、そのときは〝あーダメだった↓次、頑張ろう↓電話をして予約〞の流れを前向きにこなしていましたね」

4回目の人工授精の後、ご主人の精液の状態も考慮して、医師は顕微授精による治療を提案。一刻も早く赤ちゃんを抱きたかった二人は、ステップアップに同意します。

顕微授精が失敗した夜、 私の胸で初めて泣いた主人

これが最後の手段、必ず妊娠できるはず――。ところが、顕微授精に臨んでも、その願いを叶えることはできませんでした。

「その日は病院の個室で思いきり泣きました。前向きな気持ちで次に進んでいけば必ず妊娠できる、と思って治療していたのに、それがすべて崩れたような気がして……」

いつも笑顔で、積極的に治療に協力してくれていたご主人も、その夜は初めて涙を見せたと言います。

「寝るとき、主人は子どものように私の胸に顔をうずめて泣きました。言葉はなく、いつまでも涙が止まらない。その姿を見て私はますます、〝この人に赤ちゃんを抱かせたい〞という気持ちが強くなったんです」

この夜以来、気持ちを切り替えて、次の周期で2回目の顕微授精にトライ。しかし、受精卵の細胞分裂の状態が悪く、2個しか移植できず、やはり妊娠には至りませんでした。しかし、強い気持ちになっていたpipiさんは、落ち込むよりも他の方法で妊娠に近づくことを模索します。

「もともと冷え性なので、それを改善しなければ赤ちゃんは来ないんだと思いました。それで、思いきって1年間治療を休み、スポーツジムと鍼治療に通うことにしたんです」   治療を休む焦りよりも、「妊娠できる体である」という自信が早く欲しかったというpipiさん。

そして2007年 11 月、体調を整えたpipiさんは治療を再開。 37 歳で3度目の顕微授精に臨むことに。

「治療再開する前に、出産したばかりの知人の赤ちゃんを抱かせてもらって、〝お友達連れてきてね〞と心の中で呼びかけました。そのとき〝もう大丈夫〞って確信を持ったんです」

しかし、採れた卵の状態はよくありませんでした。 10 数個採れて胚盤胞まで育ったのが1個。遅れて育ったものがもう1つあり、なんとかその2つをお腹に戻しました。

後日、結果を聞きに、おそるおそる診察室に入ると、そこには先生の笑顔が。「おめでとう!」とpipiさんに手を差しのべてくれました。

妊娠してからもなかなかうまく育たず、苦労もありましたが、2008年8月に無事、女児を出産。

「主人に赤ちゃんを抱かせることができたのが本当にうれしい!  3年かかった道のりでしたが、それは赤ちゃんを迎えるための準備期間。きっと〝もういいよ〞という時期に、私たちのもとに来てくれたんだと思います」

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。