ここさん(37歳)
10回目の移植を終えたところです(hCG24)。
PGT-A 正常胚は残り1つ、PGT=Aに出していない貯卵が5つ(5日目グレード2が3つ、6日目グレード3が2つ)あります。
①次の移植も今まで通り、自然周期でタクロリムスを内服し移植すべきか。
②移植する胚はPGT-Aの正常胚か、PGT-Aに出していない胚盤胞か。
③しっかりホルモン補充周期での移植がいいのか。
④エマ検査を受けた方がいいか。
意見をお聞かせください。
浅田レディースクリニックの浅田 義正先生に伺いました。

名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、岡崎、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
ホルモン補充周期の方が、胎盤異常がほんの少しですが多いという統計が出ています。ホルモン補充周期といってもホルモン製剤はいろいろです。私は腟座薬を使ったホルモン補充周期を推奨しません。半減期が短い、つまり早く分解されるプロゲステロンを大量に腟内に入れて、黄体ホルモンの血中濃度が乱高下することによって、胎盤形成に異常が起こると考えています。ホルモン補充周期の経口薬である、ルトラールやデュファストンを使えば、プロゲステロン濃度の変動が少なく低濃度で安定しているので、胎盤異常は少なくなる可能性があります。
自然周期の場合、黄体ホルモンは複雑な動きをします。排卵の前にはLHサージが起こりますが、これに伴い黄体ホルモンの血中濃度が一旦やや上がって、下がります。その後また上がっていき、子宮内膜の黄体期の変化の時期がずれやすいのです。また、毎周期、月経の始めから考えると排卵のタイミングがずれているため、タイミングを合わせるのが難しく、より妊娠率を下げる可能性があります。何度も受診して、1日のなかでも早い時期なのか遅い時期なのか見定めて、移植の時期を決めなければなりません。
もちろんPGT-Aをした正常胚を移植すべきで、A胚があれば移植あたりの妊娠率は上がります。
タクロリムスを使ったりTh1/Th2、NK細胞、ERA、ALICEをしたりしていますが、これらは先進医療になっています。現在の生殖医療に関する先進医療は、妊娠率を上げるエビデンスがないにも関わらず、実施している医師がいるため、保険適用にできず一時的に保留にしたものです。EMMAも同じです。したがって現在は実施されていますが、妊娠率を上げるエビデンスはなく、将来なくなる治療ですし、ERAはすでに世界で全否定されています。私はこのような検査に使う費用を、PGT-Aをしていない胚盤胞にPGT-Aをすべきだと考えます。
慢性子宮内膜炎について、子宮内膜は毎月入れ替わっていれば、常に新しい細胞の内膜層になります。子宮内膜に凹凸があるようならば、月経が上手くいっていないため、古い内膜が残ることはあります。毎月きちんと月経があり、新しい内膜に入れ替わっていれば、心配ありません。
不要な検査や治療は避けた方がよいです。また不用意に抗生物質を使用すると、腸内細菌など体全体の細菌叢にも悪影響を与えます。
赤ちゃんまで育つはずの受精卵が、子宮の条件により上手く育たないという発想は、なくしてください。移植された胚盤胞は移植の翌日または翌々日には着床するのですが、妊娠判定まで育つ受精卵は少なく、赤ちゃんまで育つ受精卵はさらに少ないのです。37歳くらいでは、17~18個の卵子で一人の赤ちゃんが生まれることが世界的な平均です。受精卵を確実に作り、その中から選ぶ、あるいはPGT-Aで正倍数性の受精卵を移植することで妊娠率は上がります。