マグさん(36歳)
良好胚を2回移植し、2回とも着床すらしませんでした。
これは2人の出産を経てなんらかの理由で着床できない身体になってしまったのでしょうか。
だとすれば、どのような理由が考えられますか?
ここから何かできる検査や体質改善がありましたらご教示お願いいたします。
次回は医師からSEET法を勧められており、希望するなら2個移植もできると言ってもらっています。
年齢、良好胚で二度着床しなかった事実を踏まえると、2個移植で双児の可能性はどの程度になるのでしょうか。
表参道ARTクリニックの小川 達之先生に伺いました。

2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職、2025年8月より表参道ARTクリニックの院長に就任。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
国内のART登録データでは、36歳の方の胚移植あたりの妊娠率はおおよそ4割台半ばです。したがって、胚移植を2回行っても妊娠に至らないことは決して珍しいことではなく、単純計算でも約3割の方が該当します。
そのため、2回妊娠が成立しなかったという経過だけで、特別な原因があるとは限りません。年齢を考慮すると、まずは胚側の要因、特に胚の染色体の問題などが影響している可能性が考えられます。
もしこれまでのご出産が帝王切開であった場合には、帝王切開瘢痕がその後の妊娠に影響することがあります。必要に応じて、超音波検査や子宮鏡検査、場合によってはMRIなどで評価します。子宮鏡で子宮体部の内膜に異常がなくても、帝王切開瘢痕部については別に評価が必要な場合があります。
胚移植を繰り返しても妊娠に至らない場合に検討される検査として、子宮内膜の受容性を調べる検査(ERA、ERPeak)や、子宮内細菌叢を調べる検査(EMMA/ALICE、子宮内フローラ検査)などがあります。ただし、これらの検査によって妊娠・出産率が改善するかについては、現時点では十分に確立されていません。これまでの治療経過や子宮内の状態などを踏まえて、必要性を主治医と相談するのがよいと思います。
SEET法は、胚培養時に使用した培養液を保存しておき、胚移植に先立って子宮内に注入する方法です。妊娠に至りにくい方に対して行われることがありますが、すべての方に有効であるといえるほど十分な根拠があるわけではありません。選択肢の一つとして主治医と相談してよいと思います。
また、すでにお二人のお子さんを出産されているという経過がありますが、2個の胚を同時に移植すれば、2個とも着床して双胎妊娠となる可能性があります。双胎妊娠では、早産や妊娠高血圧症候群など母体・児双方のリスクが単胎妊娠より高くなります。そのため、2胚移植を検討する場合には、そのメリットだけでなく双胎妊娠のリスクについても、主治医と十分に相談して決めることをおすすめします。
ビタミンDについては、免疫バランスを整え、妊娠成立に有用な働きをしてくれる可能性があります。ただし、妊娠率を上げる目的で多量に摂取する必要はありません。葉酸を含め、必要な栄養素を偏りなく摂取することが大切です。サプリメントについても、過剰摂取にならないよう注意してください。