【Q&A】3回の胚移植失敗で染色体検査の必要性について〜井上 善仁先生【医師監修】

こさん(30歳)

現在30歳。採卵は29歳の時にしました。
3回の胚移植を終え一度も着床していない状況です。
原因は何が考えられるのか、今後どのような治療方針がいいのか教えていただきたいです。

ネットで調べて受精卵の染色体異常を疑った方がいいのかと思っているのですが、現在のクリニックで受精卵の染色体検査はできないとのことです。
このまま検査をせずに残りの4個の胚の移植をして良いのか、それとも検査はやはり必要なのか、ご意見いただきたいです。

井上善レディースクリニックの井上 善仁先生に伺いました。

【医師監修】井上善レディースクリニック 井上 善仁 先生
昭和59年3月、九州大学医学部卒業。同年4月、九州大学医学部婦人科学産科学教室入局。平成20年4月、福岡大学病院准教授。平成28年7月に井上善レディースクリニックを開院。スタッフ一同が協力して良いクリニックを作っていき、一人でも多くの患者さんに満足していただけるよう努力している。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

【質問1】3回移植してすべて着床しないのは、どのような原因が考えられますか?
3回の胚移植で着床しない原因としては、胚に染色体異常があることは勿論考えられます。しかし29歳という若い方ですから、移植した3個の胚全てに染色体異常があるとは考えにくく、子宮内膜の問題や免疫の関与(胚を異物と認識して排除してしまう現象)も考えられると思います。

【質問2】受精卵の染色体異常の可能性は考えられますか?
上記の通りで可能性はあると思いますが3個全てが異常な可能性は低いのではないかと思います。

【質問3】残りの胚の移植をする前に、受精卵の染色体異常の検査を受けるべきでしょうか?
確かに着床前診断であるPGT-Aを実施して胚の染色体が正常であることを確認することには意味がありますが、現在の保険診療ではPGT-Aを保険の範囲で行うことはできません。PGT-Aを行う場合は採卵からすべてを自費で実施する事が必要です(一部の医療機関ではPGT-Aを先進医療Bで実施していますが九州ではその施設がありません)。それに加えてPGT-Aの検査費用もそれに加わりますのでかなり高額になってしまいます。また35歳未満の若い患者さんにとってはPGT-Aが必ずしも妊娠率向上に寄与しないとの報告もありますので、結論としてはあまりお勧めできないと思います。

【質問4】他に考慮すべき検査や治療方法があれば教えてください。
ALICEが正常とのことで慢性子宮内膜炎はないのだろうと思いますが、子宮内の病変(子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫など)の有無を確認するため子宮鏡検査は実施しても良いと思います。免疫の検査としてTh1/Th2比の実施も必要だと思います。移植の方法としてもし月経が順調な方であれば自然周期や排卵誘発周期での移植を試すことも一法かと思います。

【質問5】その他、検査や治療データを見て気になるところはありますか?
特にはありません。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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