【Q&A】採卵後に胚盤胞まで至らない原因と対策について〜船曳 美也子先生【医師監修】

こまさん(34歳)

採卵を繰り返しても胚盤胞に至らない原因と、必要な検査についてお聞きしたいです。

34歳、現在不妊治療中です。これまで3回採卵周期を経験していますが、一度も胚盤胞に至らず、移植できていません。

【お聞きしたいこと】
① これまでの受精・培養結果から、胚盤胞に至らない原因として、卵子の質や染色体異常、卵子の成熟度、受精障害、精子側の要因など、どのような可能性が考えられるでしょうか。

② クロミッドのみの低刺激から、ゴナールエフを併用する刺激法に変更しましたが、今後は刺激法をさらに強めることで、胚盤胞に至る卵子を得られる可能性はあるのでしょうか。それとも、刺激法よりも卵子・受精・胚発育のどの段階に問題があるかを評価することが重要でしょうか。

③ 今後、原因を調べるために検討できる検査はありますか。例えば、精子DNA断片化指数(DFI)、受精障害に関する評価、卵子の成熟度や異常受精の原因の検討など、私たちのケースで有用性が期待できるものを知りたいです。

④ 受精はするものの胚盤胞に至らない場合、受精方法(通常媒精・顕微授精)の変更や、卵子活性化などの追加対応が検討されることはあるのでしょうか。

⑤ まだ3回の採卵ですが、毎回採卵数が少なく、胚盤胞が得られていません。今後の治療方針をどのように考えるべきでしょうか。

オーク銀座レディースクリニックの船曳 美也子先生に伺いました。

【医師監修】オーク銀座レディースクリニック 船曳 美也子 先生
日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。母体保護法指定医。神戸大学文学部心理学科、兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学、西宮中央市民病院、パルモア病院勤務を経て医療法人オーク会へ。エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、患者さんのライフスタイルなどに合った診療を行う。また、早くから不妊と肥満の関係性に着目し、2ヶ月で14kgの減量に成功した患者様の排卵障害が改善したことから、ダイエット・プログラムを発案。国内外の学会発表多数あり。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

こんにちは。今回はご質問の最後が、いいところで終わっているので、3回目の採卵結果が非常に気になるところであります。
この3回、とくに1,2回採卵での問題点は、受精障害と胚盤胞がえられていないことです。
まず受精障害についてかんがえましょう。これは、採卵が体外受精か顕微授精かによって対応が異なります。
もし体外受精で受精障害なら、卵子が成熟していたか未熟だったか不明のため、卵子が未熟であったため受精していなかった可能性があります。顕微授精の場合は、卵子の成熟度を確認できるので、採卵は顕微授精にする。また、BMIが33>25なので、トリガーを増やして、成熟卵子の数を増やすといった工夫が必要になるでしょう。

顕微授精で成熟卵であっても受精率が50%なら受精障害のリスクがあるので、精子の方も、精子DNA断片化指数(DFI)を検査したり、また、PICSI(ヒアルロン酸精子選別)などでよりよい精子を選んで顕微授精する、またCaイオノファー(卵子活性化処理法)を併用するといった治療を行います。

胚盤胞到達率、つまり、受精してから胚盤胞に進むのは、胚の自然淘汰がおこりますので、約4割程度です。(これは個々で非常に異なり、多い周期も少ない周期もあるのですが。)なので、受精数が1個だと胚盤胞は0個でも不思議ではありません。また、成熟卵が受精する確率も一般的な数字は7~8割なので、計算上は成熟卵子が5個程度あれば胚盤胞が1個できそうということになります。

もし、今後さらに治療が必要な場合についてですが、知りたい情報は二つあります。月経中のホルモン値(LH,FSH,テストステロン,E2,PRL)と、HOMA(インスリン抵抗性)です。まず、採卵数をふやすような刺激法で行い、成熟度をあげるトリガーを用いる、さらにHOMAも高ければ、ダイエット治療を行う、メトホルミンを使用する、といったことを併用すると思います。

でも、3回目の採卵では5個卵子もとれているとのことですので、今回は胚盤胞ができているかもしれませんね。期待しています。

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