ポンさん(45歳)
人工授精で41歳の時に妊娠➞流産。
顕微授精へステップアップ後、41歳の時の凍結胚で43歳の時に妊娠➞流産(どちらも心拍確認後)。
転院先の低刺激クリニックで2回採卵し、計3個の凍結胚をPGT-Aへ出すが、移植ならず。
地元のクリニックへ再度転院し、初めて上記のあらゆる検査を行ったところ、EMMA検査でラクトバチルス0、ER検査で着床の窓のズレ、th1/th2検査で数値の異常が見付かりました。
ラクトバチルス対策として、現在プロバイオティクスIIIを膣錠として1日1錠使用。現在7ヶ月継続中。
2026年8月に行ったth1/th2比が35.1と異常値だった。クリニックからタクロリムスを処方され、移植周期の前周期に受けるCD138検査が終わった2日後から、1日2錠(合計2mg)飲むように言われています。
最新の生理日の開始日は8月24日、CD138検査日は8月31日、タクロリムス開始日の指示は9月2日、検査に異常がなければ、移植周期開始日は次の生理(9月後半~10月初旬)が始まってから3日目。
まだCD138の検査結果が出てない時点で、タクロリムスは飲み始めて良いものなのでしょうか?
35.1という数値は前例がない程高いようなので、早くから対策をするという意図があるのでしょうか?
自身で調べてみたところ、「即効性のある薬なので、使用は移植周期に入ってからで良い」と書かれていたり、「数値が15.8以上の場合は、1日3錠(3mg)」と書かれていました。
まだ9月2日までもう少しあるので、担当医には再度確認してみようと思いますが、他の専門医の方のご意見を伺いたいです。
セント・ルカ産婦人科の宇津宮 隆史先生に伺いました。

熊本大学医学部卒業。1988 年九州大学生体防御医学研究所講師、1989 年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は 9,500 件を超える。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
残念ながら、タクロリムス、Th1/Th2比、TRIO検査など、どれもエビデンスはありません。しかも、DHA&EPAは手術時(採卵時)には出血多量になる可能性があるので麻酔科では禁忌とされています。葉酸だけは妊娠前3ヵ月から服用すること。そのほかは通常の食事をしているなら必要ありません。乳酸食品はいいかもしれません。
エビデンスのない検査・治療法にこだわるのは無駄と思います。着床の窓についても、マウスの実験では結果が出ていますが、人間ではいまだ不明です。そして、ヒトでは着床の窓が2-3日ずれても妊娠は可能ですので、気にしないことです。
ポンさんはPCOのようですので、卵子は十分とれそうですが、年齢が高いので卵子の質はそれ相応に低下(染色体異常)していると思います。
さて、ポンさんは2回流産していますが、その染色体検査はしたのでしょうか。当院では流産したら必ず胎盤の染色体検査をします。すると80%が染色体異常による流産でした。よって2回流産しているポンさんは染色体正常胚を移植すればうまくいくはずです。
よって、今アドバイスできることは、低刺激ではなく、OHSSも覚悟してきちんとした調節刺激で20個くらい採卵して、PGT-Aすることです。ポンさんは以前、3個PGT-Aしていますが、この年齢なら検査胚盤胞7-8個は欲しいです。なぜなら、43歳未満全体で染色体正常胚盤胞は25%ですから。4個に1個です。
エビデンスのない方法の検査(TRIO、EMMA/ARIS、CD138、Th1/Th2など高額)やそれに関する薬代(これも高額)に高額のお金をかけるより、はっきりエビデンスが出ているPGT-Aにお金をかけたほうが良いと思います。
PGTに関しては、日本産科婦人科学会において2017年から2022年までのパイロットスタディと全国200施設の研究で、合計43,000個の胚盤胞をPGT-Aして移植した結果、妊娠率69%、流産率10%という素晴らしい成績(エビデンス)が得られ、論文も出ています。今、保険適用に向けた特別研究に入っています。現在、PGT-Aは私費ですのでそのためのIVFも私費となり、ここがネックです。
ポンさんは年齢の割に多数の卵子が取れますので、有利です。しかし、質は落ちて(染色体異常)いるでしょう。よって、今のうちに、PGT-Aをして染色体正常胚を移植することです。それが最も早い道と思います。