さやかさん(36歳)
2回の初期流産を経て、PGT-Aをしています。
低AMHのため採卵数は毎回1〜2個しかありません。受精率や胚盤胞率は高く、採れれば胚盤胞までいくことが多いです。
2回目の流産でNGS検査を行い、流産の原因が16トリソミーだったことが判明。
その後、これまでに3個の受精卵をPGT-Aに出しましたが、全て異常胚でした。
異常が出たのは、3,8,16,18,22など毎回違います。
流産も含めると5回連続の異常胚なのではないかと考えています。
これは年齢だけで説明できる範囲なのでしょうか?
それとも何か隠れた原因があるのでしょうか?
今の私にできることや隠れた原因があるなら知りたいです。
よろしくお願いします。
浅田レディースクリニックの浅田 義正先生に伺いました。

名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、岡崎、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
低AMHで連続異常胚の原因と対策について
37歳でAMHが0.49は卵巣予備能が低いため、1回の採卵で採れる卵子の数が少なく、数個も採れないのが一般的と考えます。
PGT-Aでは、胚盤胞になったとしても、30代前半までの若い人でも4割くらい異数性があり、47歳になれば9割以上は異数性になります。37歳であれば、平均で半分以上は異数性でもおかしくありません。
PGT-Aで異数性が連続しているとしても、「20個~30個の受精卵のうち、異数性胚が8割~9割」という状況でないため、採卵数が少ない場合は異数性の割合が多いのか少ないのか断定できません。
異数性の頻度は、カップルによって違います。DNA自体が壊れるのではなく、卵子の老化と共に、DNAを束ね染色体を形作っているコヒーシンなどの成分が少なくなり、染色体異常のリスクが高くなっていると現在では言われています。
DNAそのもの、遺伝子自体がおかしいのではありません。それを束ねている輪ゴムや針金のようなものが劣化して、異数性の頻度が高まります。その頻度の平均はあっても個人差が大きいと考えます。異数性の頻度が高いのであれば、体内での卵子の保存状況があまりよくない可能性はありますが、それを修正する手段はありません。
治療では、効率よく十分な成熟卵を採ることが重要で、次に受精操作、培養など、受精卵にストレスをかけない技術で異数性胚を多少は少なくできる可能性があります。
注射を多く打てば多くの卵子を採卵できるのではなく、卵子は体内で半年前から育ち始めており、ホルモンとは関係ありません。ホルモンをコントロールしても、育つ卵子の数を増やしたり減らしたりすることはできません。
どれくらいの卵子が育つのかは、AMHである程度わかります。採卵する3ヶ月前からはホルモン依存のため、卵巣刺激をするときに考慮し、卵巣予備能に見合った卵巣刺激ができる施設で治療をすることが肝心です。
同じように刺激をして、できた受精卵がよい、悪いとするのではなく、あなたに合わせた刺激をすることです。卵巣予備能が低いのに多くの注射を打つのは費用対効果が見合っていないし、多くの卵子が採れるのに、わざわざ低刺激の治療をするのは妊娠率を下げることになります。
卵巣予備能と年齢を考慮した卵巣刺激が大切です。
赤ちゃんまで育つ受精卵に巡り合うためには、多くの卵子が必要です。
なかなか正常な受精卵と出会わないときに、均衡型の転座という異常もありますが、該当する患者さんはごく少数です。
染色体異常は偶然起こるため、それをコントロールすることはできません。受精卵が多くあれば、よい受精卵も出てくるという発想で、卵巣予備能が低くても卵巣刺激を適切に行い、成熟卵がより多く採れる施設で治療を継続されることを望んでいます。