【Q&A】採卵が辛い。ステップダウンはあり?~大野基晴先生【医師監修】

ゆかりさん (30歳)

今までの経過があり、体外受精で授かれることが分かりましたが、採卵が本当にしんどいです。
AIHへステップダウンするのは、ありでしょうか。
また、検査が1年以上前となってしまったのですが、もう一度AMHや通水検査、甲状腺検査、精液検査を行った方が良いのでしょうか。

北千住ARTクリニックの大野先生に聞いてみました。

【医師監修】北千住ARTクリニック 大野基晴 先生
2010年東海大学医学部医学科卒業。順天堂大学医学部附属順天堂医院、賛育会病院、越谷市立病院、大島医療センター、セントマザー産婦人科医院勤務を経て、2022年に順天堂大学浦安病院リプロダクションセンター副センター長に就任。2023年に北千住ARTクリニックを開院する。タイミング法からステップアップという従来の概念にとらわれず、すべての選択肢を提示し、その方にとってベストな方法で治療を行っていくことを大切に考えている。主役は患者さん本人。主人公が輝けるよう、アンパンマンのジャムおじさんのような存在で支えていくのが理想。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

ご相談いただきありがとうございます。
現状を拝読いたしました。

流産だけでなく、その後の大量出血もあり、とても大変だったかと思います。前向きに妊活を考えられているのであればなによりです。ご質問の件ですが、妊活を行うにあたり、AIHへのステップダウンをするかどうかですが、とても悩ましいですね。AIHでは最終的に精子と卵子が出会えたのかどうかがわからないまま妊娠率が10%前後の治療となります。
ARTでは採卵までの日々がたしかにつらくなりますが、今回までの状況から妊娠につながる可能性は高いと思います。AMHも高値の方であり、年齢も若いので、AIHへのステップダウンを数回トライするのももちろん良いかと思いますが、スケジュール・コスト感・妊娠率等を天秤にかけていただき、最終決定するのが望ましいかと思います。

採卵の負担の軽減に関してですが、麻酔をすべて局所麻酔でされていたのであれば、採卵時しんどいと思うので静脈麻酔に変更するのはいかがでしょうか。採卵最中の痛みや記憶はなく、体は楽かと思います。また採卵までの注射等がしんどかったのであれば刺激を落とすのが検討されますが、採卵あたりの妊娠率を考えた場合、低刺激をするよりも高刺激した方が最終的にはよいかと思います。

1年以上経過した検査に関しては再検査してもよいと思います。
AIHにステップダウンするのであれば各種感染症や甲状腺やAMH・精液検査等やりなおした方が治療方針を相談しやすいです。とくに再検査をする場合、通水検査では正直本当に卵管がつまっているかの診断はできません。卵管造影検査を行ってみましょう。

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