さくらさん(29歳)
2025.8.7(卵胞21mm)のフーナーテストで精子が全く動いていないと言われました。精液検査で問題はなかったので、相性が悪いか私に抗精子抗体があるのかもしれないとのことで、タイミング法よりも人工授精を始めた方がいいと言われました。
抗精子抗体はあっても治療方針は変わらないから調べなくていいと言われましたが、もし強陽性である場合は人工授精ではなく体外受精にステップアップする方がいいのではないかと悩んでいます。
AMHが1.69と低く、抗核抗体が陽性(Homogeneous160倍、Speckled160倍)なこともあり、このまま人工授精を何回か続けていいのか不安です。
抗核抗体は3ヶ月後に再検のためまだ詳しい検査はしていません。
卵管造影もまだしていません。
体外受精にするべきか決めるために必要な検査などがありましたら、教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。
広島HARTクリニックの向田哲規先生に伺いました。

高知医科大学卒業。同大学婦人科医局に入り、不妊治療・体外受精を専門 にするため、1988年アメリカ・マイアミ大学生殖医療体外受精プログラムに在 籍。1990年から5年間NY・NJ州のダイヤモンド不妊センター在籍後、1995年 広島HARTクリニックに勤務し、現在院長として臨床に従事。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
●抗精子抗体の教陽性の場合、体外受精へのステップアップは必要ですか?
抗精子抗体強陽性の場合は、高い確率で受精障害が起こるため、体外受精を用い、場合によっては顕微授精(ICSI)を用いる必要があると思います。
●AMHが1.69の場合、人工授精と体外受精の選択基準を教えてください。
AMH1.69は年齢38-40歳の中央値と同じレベルですので、29歳という状況ですが、早期に採卵に向けて受精卵を複数個得て、弟妹の2人目、3人目も考えて用意しておく方が良い状況です。
●抗核抗体陽性が不妊治療に与える影響について説明してください。
抗核抗体強陽性の場合、着床しても流産に至る確率が高く、プレドニン等のステロイド剤投与や、状況に応じてヘパリンなども必要となる可能性が高いと思われます。
●卵管造影検査を受けるタイミングとその重要性について教えてください。
上記のような状況から、体外受精が適切ですので、子宮卵管造影検査は、卵管を用いて妊娠に向ける治療は行わないので必要ない状況です。
●体外受精を選択する際、他に推奨される検査があれば教えてください。
抗核抗体陽性など自己免疫疾患背景なので、その他も自己抗体や、NK細胞活性、Th1/Th2の状況等も調べて置き、必要に応じてIntralipid点滴やタクロリムス投与なども併用せざるを得ない状況になる可能性があります。
●最後に。
生殖医療専門医としては、これ以上人工授精を続けるのは、無意味と判断せざるを得ないと思います。