今、自分のカラダを 見つめよう

いつか子どもを産みたいと思っているアナタへ

今、自分のカラダを 見つめよう

昨年ツイッターで行った不妊治療経験者2000人アンケート。

治療のなかで感じている生の声をお届けし、反響を集めました。 コメントのなかで多くの人から声が上がっていたのが、 「若いから大丈夫」という認識を変える必要があるということ。

 

宗田 聡 先生 筑波大学卒業、その後同大産婦人科にて研修。 Tufts 大学(ボストン)遺伝医学特別研究員、 水戸済生会総合病院産婦人科部長・茨城県周 産期センター長、パークサイド広尾レディスクリ ニックを経て、広尾レディース院長に。

ドクターアドバイス

子どもが欲しいと 思った時のために 20 代からの 健康チェックはとても大事です。

今号では、若いうちに検査を受けることの必要性を考えます。

アンケートに多くの経験者から寄せられた声。 それは、「患者側も医療者側も “ まだ若いからタイ ミングをとればそのうち子どもはできるだろう ” という認識は、変えるべき。なぜなら、それが不 妊原因の特定やステップアップを遅らせたりする ことになるから。そして、気がつけば “ 高齢 ” と いわれる歳になってしまう」というものでした。

実際、この時のアンケートでも、クリニックの門 をたたいたきっかけは、「子づくりにチャレンジし ても1~2年できなかったから」という人が半数を 超え、「将来に備えて不妊原因がないか調べようと 思ったから」という人はわずか 15 %のみでした。

「生理もちゃんときているし、不調もない」、「結 婚の予定もまったくない」、「まだまだ若い」。だ から検査なんて必要ない、と思っているアナタ、 本当にそうでしょうか?   いつかやってくる「赤 ちゃんが欲しい」と思う時に備えて、今、自分 の体をチェックすることがとても大切なのです。

自分のカラダを知るための検診は、どんなタ イミングで受けたらいいのでしょうか。検査で はどんなことを調べるのかも気になりますね。 女性のニーズに応じた検診を行っている、広尾 レディースの宗田聡先生に検診の大切さやその 内容について教えていただきます。

若い時に検診を受けに行く女性は、 まだ多くはありません。その意義を教 えてください。

宗田先生 女性が若い時に検診を受け るのはとても意義があります。理由 は二つあって、一つは男性と違って、 女性は若いうちからかかる病気が多 くあるということ。 20 代 30 代の乳が ん、子宮頸がんはすごく増えていま す。早いうちに見つけないと、命に かかわることになります。

子宮頸がんは性交渉によるHPVと いうウイルス感染が原因で起こり、感 染すると数年後にがんが発症します。 毎年、 1 万人が発症し、3500人が 亡くなっています。初交年齢が早けれ ば、 20 歳前後でがんになる人もいます。 子宮頸がんワクチンは、世界では当た り前になっていて、今では男性も打つ ようになってきていますが、日本ではほとんど浸透していません。子宮頸が んにかかるリスクにさらされているわ けですから、なおさらのこと、性交渉 をするようになったら検査を受ける必 要が出てきますね。

また、クラミジアなどの性病に知 らぬ間にかかっていることがあり、 それがお腹の中で炎症や癒着を起こ すと、将来不妊の原因になってしま います。性病は自分では気づけませ んし、がんは自覚症状が出てからで は手遅れということがあるので、ど ちらも初期のうちに検診で見つけて 治療することが重要です。

もう一つは、子どもをつくるのに問 題ない体かどうかを知っておくのが大 事だということです。よく「子どもが できるか、診てください」と言う人が いますが、それは少し違います。子ど もは夫婦でつくるものですし、健康で
もできるとは限らないですから。ただ、 子宮筋腫子宮奇形があると、いざ子 どもをつくろうという時に問題が出て きます。早いうちにそのことを知り、 子どもをつくりたい時に向けて備えて おくということが、大事なのです。

こちらのクリニックの検診には、レ ディースコースとプレママコースがあ りますね。

特徴を教えてください。

宗田先生 レディースコースは、まだ 子どもをつくる予定はないけれど、今 の自分の体の状態を知りたいという方 向けの内容です。基本の血液・尿検査、 子宮や卵巣のチェック、主な性病の検 査、女性ホルモンや生理不順の原因に なる甲状腺ホルモンなどを検査します。

プレママコースは、ブライダル チェックともいわれるもので、子ども をつくることを考え始めた方向けの内 容です。レディース検診の項目に加え、より多くの種類の性病検査、 B 型 C 型 肝炎や麻疹・風疹の抗体検査なども 入ってきます。

受けに来られる方は半々くらいです が、若い方はレディースコースが多い ですね。海外赴任が決まり 2 年は子づ くりできないので、行く前に自分の体 の状態を知っておきたいという方や、 検査をして問題なければ逆に子づくり をもう少し先送りしようという方など、 理由はそれぞれですが、自分の体を知 ろうという意識の高い方が多いです。

子どもが欲しいと思った時に、もし も病気があったら、すぐに産めない状 況になるかもしれません。そこから検 査して、治療して…となると年齢も上 がってしまいます。そうならないため に、ぜひ 20 代から健康チェックをして もらいたいですね。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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