【Q&A】体外受精へのステップアップのタイミング~藤本先生【医師監修】

こにゃさん(29歳)

●検査について
現クリニックでできる検査がもうなく、原因不明。子宮鏡検査、フーナーテスト、抗精子抗体検査、他にも色々あるようなので、転院して早めに検査すべきでしょうか。

●頻度について
排卵日前に合わせて月1〜2回(たまに3回)のタイミングでは不十分でしょうか。

●人工授精の必要性について
あと何回すべきなのか、それとも即ステップアップすべきなのでしょうか(先月、卵管造影検査を終えてゴールデン期間ではあるが、異常なしだったのでそこまでゴールデン期間があるのか不安で…)

●転院について
田舎で病院がなく、現クリニックも車で片道2時間。転院先は片道4時間半。旦那の精子の運搬など不安があります。

【医師監修】さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

あらかじめ行う検査はクリニックによって異なりますが、子宮内膜ポリープ並びに粘膜下子宮筋腫の評価のために子宮鏡検査は一度しておくことをお勧めします。フーナーテストは精液検査を行っているので改めて今から行う必要はないと考えます。抗精子抗体検査については血液検査なのでやることも可能ですが、陽性頻度がとても低いので、現在は当院では初診時検査としては行っていません。

性交渉の頻度ですが、排卵日前に1~2~3回程度されているなら問題ないかなと判断します。

人工授精はあと2~3回程度は行うことでの期待値がありますので年齢的にも行ってもよいと考えます。逆にいうと2~3回行っても妊娠に至らない場合には期待値は下がってくるのでステップアップして体外受精を勧めることとなります。精子の採精してからの時間設定はクリニックによって異なります。2時間以内にという施設もあれば、当院では3~5時間以内に設定していますが、基本的にこのくらいの時間でも多くの患者さんでは問題ありません
卵管造影後のゴールデン期間は、あくまでも『おまけ』みたいなものなのでそこを基準に何かを決めたりはしなくてもよいと思います。
ステップアップについては、年齢、AMH不妊期間、御夫婦の希望で、その回数やステップアップのスピードは変わってきます。ただし、早く妊娠したいからすべてを飛ばして体外受精をするというのは保険診療ではNGとなることがあります。こにゃさんの場合にはタイミング治療×3回、人工授精を×1回行っているので、人工授精を更に1~3回行い、そこで妊娠に至らなければ体外受精を行うのは妥当な回数と思われますので、もちろん保険診療での体外受精が可能となるはずです。

体外受精を行う際に遠方のクリニックに通院するのは大変で不安もあるかとは思いますが、体外受精をすることで妊娠する確率も上がりますし、ものは見方で楽しみ!と捉えて通院できるといいかなと思います。頑張ってくださいね。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。