【Q&A】採卵数はあるのに胚盤胞ゼロ…自然周期で大丈夫?~船曳先生【医師監修】

とんこつさん(40歳)

40歳になりたてです。自然周期で採卵したときの卵の数と受精卵はどのくらいを目指せば良いでしょうか?とくに胚盤胞到達率はどのくらいなのでしょうか?
39歳の終わりから顕微授精を自然周期にて始めることにしました。子宮筋腫があり、年内に入院予定です。
私は自然周期で大丈夫なのかと不安になっています。理由は、採卵結果が悪いのではないか?と思うからです。
39歳後半での採卵では卵が4つ採れ、そのうち2つが受精しましたが、結局、胚盤胞になったのは1つのみでした。2回目の採卵では卵が5つ採れて受精卵が4つでしたが、胚盤胞はなんと0でした。
これは40歳前半でよくあることなのでしょうか?

オーク銀座レディースクリニックの船曳先生にお話を伺いました

【医師監修】オーク銀座レディースクリニック 船曳美也子 先生
日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。母体保護法指定医。神戸大学文学部心理学科、兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学、西宮中央市民病院、パルモア病院勤務を経て医療法人オーク会へ。エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、患者さんのライフスタイルなどに合った診療を行う。また、早くから不妊と肥満の関係性に着目し、2ヶ月で14kgの減量に成功した患者様の排卵障害が改善したことから、ダイエット・プログラムを発案。国内外の学会発表多数あり。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

今回採卵5個できたのに、胚盤胞にならなかったとのこと、非常に残念に思われたと思います。ただ、文献的には、受精率は70%で、40歳で受精卵から胚盤胞到達率は30〜35%、です。また、1回目は2個採卵で1個胚盤胞なので、胚盤胞到達率は極端に低いわけではないと考えます。

文献では、40歳で胚盤胞1個あたりの妊娠率は20%前後、出産率10~15%とされていますので、一人の赤ちゃんをつくるのに、卵子は相当数必要になります。また、40歳で自然周期の採卵数は1個程度ですが、4個、5個採卵できているので、完全自然ではなく低刺激の採卵と思われますが、AMHが2ですから、高刺激であれば8個前後は採卵できると考えられます。

2回自然周期で結果がでなかったということなので、高刺激で採卵数をふやして、最終的にのこる胚盤胞数を増やすという方法にかえてもいいと考えます。



また、胚盤胞になかなかならない場合、卵子は育ったものをすべて使う以外ありませんが、精子は何万個とあるはずなので、ヒアルロン酸選別法を併用しより良い状態の精子を顕微授精するという方法も一法です。

子宮筋腫については、まず、子宮内膜に突出する粘膜下筋腫は着床に影響する可能性があるので移植前の手術が推奨されます。筋腫自体は卵巣に直接関与しないので、採卵数、受精率、胚発育には原則として影響しません。ただ、筋腫のために卵巣が採卵しづらい位置にある場合、筋腫サイズが大きく不随意の子宮収縮が移植に影響をあたえる可能性を考える場合は、筋腫核出術も考慮する場合があります。

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