【Q&A】低AMH、治療方針と転院について~丸田先生【医師監修】

いわなさん(38歳)

今お世話になっているクリニックは「良い卵を戻せば妊娠できる」との治療方針です。

保険終了後に転院するか迷っています。転院すると1から検査をして時間がかかるのではないかと思います。
年齢的にも、AMHの値も低いので焦りがあります。どうしたら良いのでしょうか?

妊娠しない理由についても見解をお聞きしたいです。

丸田先生に聞いてきました

まるたARTクリニック 丸田 英 先生
久留米大学医学部卒業。名古屋大学医学部附属病院 産婦人科を経て、2012年3月より生殖医療専門。2020年3月、まるたARTクリニックを開業。初診から治療終了まで同じ医師が担当することにより、効率的で高い成功率が得られ、何より患者さまの安心へと繋がると考え、診療に臨んでいる。「どんな時も患者さま第一、患者さまご自身の一瞬一瞬を大切に」を目標に掲げ、不妊治療と仕事の両立に理解ある治療スケジュールを導入。また、PRP療法などの最新治療や無料託児所完備等、不妊治療の環境向上にも積極的に取り組んでいる。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

治療の経過を拝見し、大変ご苦労されているとお察ししています。
最も気になることはやはりAMHの値です。ご承知の通りAMHは妊娠可能期間(治療可能期間)を推定するものです。AMHが0.42とのことですので限られた時間内で有効な治療を考えることが重要です。
体外受精顕微授精)には、大きく2つの段階を経て妊娠成立します。すなわち、採卵と移植です。この2つの段階は、時間制限がある採卵と時間制限のない移植に分けることができます。(受精卵さえあればたとえ閉経しても妊娠できます)そう考えると、AMHから時間制限のある採卵(卵子回収)することに時間を使ったほうが良いと思います。38歳であれば概ね15個から20個の卵子を回収すれば元気な赤ちゃんが生まれてくる計算です。

●いわなさんの年齢や AMHの値などを考慮に入れた上で、現在のクリニックでの治療を続けることと転院すること、どちらがより有効と思われますか?

クリニックにより方針が違いますが、当院では「良好な受精卵を良好な子宮環境に移植する」ということが大事だと考えています。経過からすると、環境に関しては重点を置かず移植を繰り返している印象です。子宮外妊娠(卵管癒着)も子宮環境が悪いことが一因の可能性があります。

●転院した場合、一からの検査にどの程度の時間がかかると見込まれますか?また、その期間中は不妊の状況が悪化する可能性はありますか?

転院するか継続するかは難しい判断ですが、現在のクリニックで継続するメリットは、最初から治療を担当している医師がいて、経過をよく知っているはずですから今後の治療戦略を考えてもらえるメリットがあると思います。
しかし一方で、戦略が変わらず同じことの繰り返しの治療では、良い結果に結びつかないリスクがあると思います。つまり、治療戦略を考えて今後の治療にあたっているかどうかがポイントではないでしょうか。

●モモさんの黄体機能不全の可能性について、先生はどのような評価をされますか?

黄体機能不全の原因は排卵障害になります。排卵障害の原因は、頂いた内容だけではわかりませんが、何かホルモン値などに原因があるのではないでしょうか。

●いわなさんに対して、現在の治療方針以外に考えられる治療方法はありますか?

当院でしたら、卵子回収にまず時間を割き、移植環境を評価し整えてから移植に臨みます。
妊娠しない原因は、必ずあります。ただその原因が明らかにできるかどうかは別ですが、だからなおさら失敗した治療の繰り返しはリスクがあると考えています。不成功に終わった治療の何を変えて次回の治療に臨むかが重要な姿勢だと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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