【Q&A】3回流産し、手詰まり感…あと何をすべきでしょうか。~宇津宮先生【医師監修】

なおチロリンさん(36歳)
【これまでの治療内容】
2020年2月、卵管造影→問題なし、子宮鏡検査→多発性ポリープが見つかり切除手術(し䜀らく䛿半年おきにポリープができ掻爬手術を受ける)。その後、採卵2回→胚盤胞2個、D3の卵2個を凍結。
2021年1月、最初の移植(胚盤胞4BB)で妊娠するも、6週手前で流産。
その後、不育症検査(血液凝固異常、自己免疫異常、不規則抗体、Th1/Th2)一通り受け、問題なし。
同じ年にEMMA・ALICE検査も受け、ラクトバチルス0%という結果が出たのでしばらく抗生剤やラクトフェリンサプリを服用したり、膣に
直接入れるINVAGを毎月のように入れたりして再検査に4回臨むが、2回目で一度8%になったきり、あとはずっと0%からまったく改善せず。フローラ対策に丸一年費やし、改善しませんでした。
2022年、移植を再開。二度続けて妊娠不成立(3度目の移植は胚盤胞:3BCと4BBを2個同時移植)
2023年3月と4月に着床前検査のため採卵を2回実施。
A判定の胚盤胞が4つできました(4AB、4BA、4BB、3AB)。
7月にPRP療法を採用し、4ABを移植(4回目の移植)。妊娠するも5週6日で出血・流産。
9月末に腹腔鏡手術を受け、子宮周辺の様子を確認→一部癒着を剥離。大きな問題は無し。
11月の子宮鏡検査で、初めてポリープが確認されなかった(今までは移植前に毎回子宮鏡検査でポリープが見つかり、掻爬術を受けてからスケジュールに入っていた)。
12月にPRP療法にて5回目移植(4BA)→妊娠するも年明け早々に6週0日でまた流産しました。
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これまでに5回移植を行い、3回妊娠できたものの、3回とも胎嚢確認後6週前後で突然出血。心拍確認前に流産しています。
(3回中1回は2021年、2回は2023年)
2023年春に採卵して着床前遺伝子診断を受け、A判定の胚盤胞(4AB、4BA)を7月と12月にそれぞれPRP療法まで採用して移植しましたが、どちらも前述の様に心拍確認に至っておりません。
移植スケジュール中は、血流をよくするため毎晩バファリンを服用していました。
子宮は前屈気味で移植時は毎回尿を溜めておくよう言われます。

宇津宮先生に、お話しを聞いてきました。

【医師監修】セント・ルカ産婦人科 宇津宮 隆史 先生 熊本大学医学部卒業。1988 年九州大学生体防御医学研究所講師、1989 年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、1992年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は 9,500 件を超える。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
この方はほぼ現時点でできる限りの治療を行っていると思います。しかし3回も流産に終わっているとのことで、PGTも行っており、染色体は正常であったはずが流産しています。とすれば、まだ何か現時点ではわからない遺伝子的変化があるかもしれません。AMHも0.86で、年齢は36歳ですので、今、最も効率よく治療できる方法はPGT-Aでしょう。また、流産したらPGT-A移植でも胎盤の遺伝学的検査(できればNGS,少なくともGバンド)をすべきです。それはPGT-AはNGSで行うので、倍数性異常や片親性ダイソミー、数位的異常を検査するのにDNAの長さが足りなくて検知できなかった、などがあるからです。
タイムラプスでの所見はいかがでしょうか。ダイレクト分割やリバース現象など、それらも参考になります。
現在、2個のA判定の胚があるのでまずそれを移植しましょう。
不育症検査をしており、異常ないので安心です。
ちなみに、ラクトフェリン、INVAG、EMMA/ALICE、PRP、2段階移植、PICSI、低量バファリンなどは有効であるという証拠はありませんのでそこらに期待することは時間とお金の無駄です。
気持ちを切り替えて、ご夫婦で生活を楽しみましょう。今までよく頑張ってこられたのですから、気分転換に自然の中に出ていくとか、芸術を楽しむとか、夫婦生活も基本に戻って楽しむためにする、楽しい生活の中で時々思い出して妊活をする程度の気持ちでいいと思います。「なおチロリン」さんの効率よい妊活はやはりPGT-Aでしょう。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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