【Q&A】ERA検査のズレと子宮内膜炎について ~田中先生

ERA検査で着床のタイミングのずれが発覚。

その後、子宮内膜炎の治療を経て、移植に戻る場合、ズレも治っているのでしょうか?

田中先生に聞いてきました

セントマザー産婦人科医院田中 温 先生 順天堂大学医学部卒業。膨大な数の研究と実験は毎日深夜にまで及び、1985 年、ついに日本初のギフト法による男児が誕生。1990 年、セントマザー産婦人科医院を開院。現在も研究と実験に精力的に取り組んでいる。日本受精着床学会副理事長。順天堂大学医学部客員教授

すずさん(35歳)

2年前から顕微受精をしています。良好胚を2回移植して陰性だったので子宮鏡検査とERA検査をしました。 子宮鏡は問題なかったのですが、ERA検査で12時間のずれがあり、ズレを修正して3ABの胚盤胞を移植し、また陰性でした。

この頃ネットの情報で子宮内膜炎は子宮鏡だけでは診断できないと知り、主治医にCD138の検査がしたいと希望して検査を行いまし た。結果、子宮内膜炎があり、抗生剤で治療し、現在再検査の結果待ちです。 

6回目の採卵もし、胚盤胞をPGT-Aにも出していてこちらも現在結果待ちです。 

32歳の時に自然妊娠、心拍確認できず稽留流産となり、8週で掻爬術をしています。 

次に移植するのは子宮内膜炎が治ったことを確認してからになりますが、内膜炎が治るとERA検査で言われた12時間のずれがまた 変わってしまうのではないかとすごく心配です。 

次に移植する場合のERAのズレを修正して移植すべきなのか、もう一度ERA検査をお願いすべきなのか迷っております。 

子宮内膜炎がいつからあったのか分かりませんが、過去に自然妊娠したこともあり、ズレを気せず通常のタイミングでは移植でも良い 場合もあるのではないかと考えています。また、すごく大きくズレてる訳ではないと思うので、内膜炎が治って、今言われている12時間 から窓が多少ズレたとしても、修正して移植しても着床にさほど影響がないのでは、とも思っています。 主治医に同様の質問をしたら「内膜炎が治ったら12時間はズレを修正してそのまま移植して良いのではないか」と言われています(私 と同じケースで、24時間のズレがあり、内膜炎治癒後、内膜炎治療前のズレは24時間で修正して移植して妊娠した方がいると言われ ました)。 

 ERAの再検査は時間もお金もかかるしとても痛かったこと、出した検体が検体不良で返ってきてしまい2度検体採取をした経緯もあ り、出来ればもうしたくありません。 

 でも、一度の採卵で1〜2個しか胚盤胞ができないので胚盤胞を無駄にしたくない気持ちもあります。 

ヒトの着床する時間は他の哺乳動物よりも広いと言われております

また子宮の内膜は場所によって組織像が大きく変わりますので、私は個人的にはERA検査はお勧めしておりません。現在着床前診断が認定施設で行われておりますので、私は着床前診断で染色体が正常な胚を移植することをお勧めいたします。

ERA検査は子宮内膜の腺管と間質の発育を調べて、正常な排卵、卵巣機能、子宮内膜像を顕微鏡で調べることにより、内膜の発育に正常よりずれていないかどうかを調べる検査ですが(従来は内膜の日付診と呼ばれておりました)、私も病理をしばらくしておりましたが、内膜診は正しい情報を得ることが難しいことを知っておりますので、あまりERAの重要性は感じておりません。

やはり一番重要なのは移植する胚の質です。ガードナー分類が一般的ですが、35歳を過ぎた場合には半分が染色体異常となりますので、私は胚の染色体を検査する着床前診断(PGT-A)をすることをお勧めいたします。

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