ウトロゲスタンとワンクリノンはどちらも膣から吸収される
プロゲステロン製剤で、
体外受精における胚移植の際には、
ホルモン補充周期での治療の際には必須であり、
新鮮胚移植や自然周期での凍結融解胚移植においても使用する場合
があります。
現在日本で使用できるプロゲステロン膣座薬は4種類あります。
用法や容量は薬剤により異なりますがそれぞれの薬の製剤吸収のさ
せ方の違いによるもので、
1日量での効果はどの製剤も差はないということが薬剤が認可され
る時点で検証されています。
そのため1日量の価格はどの製剤も同じに設定されています。
なので、どの製剤が優れていて、
どの製剤が劣っているというものではありません。
4製剤はそれぞれに特徴があるので、先生の好みもありますし、
患者さんの好みもあります。
またホルモン補充周期での凍結融解胚移植における一番のメリットは移植日をある程度自由に”決められる“というのがメリットです。よく患者さんに”一番いい日にしてください“と言われるのですが、僕は”一番いい日というのはなくて、いつにでもできるというのがこの方法のメリットなんですよ“とお話しています。
なので、子宮内膜がある程度基準に足りる厚みがある(一般的には7mm以上)ならば、胚移植日が早い遅いは妊娠の結果に影響しないと言えます。

エリンギさんは2回の稽留流産を経験されているので定義的には反復流産(2回の流産既往)となります。
流産の原因の多くは胎児側の原因(一番は染色体異常など)となりますが、一部に母体側の原因となる方もいます。過去の流産の原因を調べる方法はありませんが、反復流産ということであれば不育症の検査を行い母体側の流産原因がないかを調べるというのも選択肢としてはありますので、主治医の先生と相談してみるといいかもしれません。
胎児側原因の流産を予防する方法はありませんが、母体側原因の流産については原因がわかれば対策がとれるものもあるからです。
エリンギさんの年齢を考えると、保険での胚移植はあと1回であることが予想されます。あと1回の胚移植を少しでも高い確率で行うためにできることを考えると、胚盤胞の2個移植になります。今までされていたかは記載がないのでわかりませんが、1回あたりの妊娠率を上げる方法としてはこれになります。一方で2個移植では双胎のリスクがあることも忘れてはいけません。
膣座薬に違いはありませんが、妊娠経験のある慣れた薬剤ということであればウトロゲスタンしようでいきましょう。移植日は気にせずに自分の都合の良い日で決定してよいと思います。