【Q&A】発育のいい良好胚を採るためには?~蔵本先生【医師監修】

りらっくみさん(33歳)

顕微授精をしていますが、体外受精でも受精はするけどその先の細胞分裂が進まず、止まります。
そのため、顕微授精をして培養液を変えてみたりしてもらいましたが、胚盤胞にならず凍結も出来ないままです。
一度だけ初期胚を戻したことがありますが、あまりグレード(型?)が良くなかったからか、着床には至らなかったです。
今の病院では「やれる事は、やった」と言われ、今後、転院も進められました。
確かに、卵子は育って採れるからまだ望みはあるのだろうけど、なぜ、胚盤胞まで進まないのか気になっています。
また、病院変えたところで、どうなのでしょうか?どんな病院がいいのか、何か私自身に問題があるのか、アドバイスいただけたら嬉しいです。

蔵本先生に質問してみました。

【医師監修】蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志 先生 久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990年オーストラリア・PIVET メディカルセンターへ留学。帰国後、1995 年蔵本ウイメンズクリニック開院。JISART(日本生殖補助医療標準化機関)理事長。久留米大学医学部臨床教授。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

なかなか胚の発育がよくならないとのことですね。
良好胚へ発育させるには、良質の卵子を採取し受精させ、良い培養を行うことが必要です。まず良質の卵子を採取するためには、女性の年齢33歳ですのでまだまだ良質の卵子は採れると思います。

1. 卵巣刺激法を変えること

同じ方法だけでは上手くいかないこともあるので、卵巣刺激法を変える。(5種類あります)

2. 顕微授精をするのであれば、より良質な精子を選択する

先進医療として、
①Zymot(膜構造を用いた生理学的精子選択術)を行い、限りなく染色体の正常な精子を選ぶ。
②PICSI(ヒアルロン酸を用いた生殖学的精子選択術)により、成熟精子を選ぶことができます。
このようなより質の良い精子をPIEZOを用いて、より卵子への負担の少ない顕微授精をすることで、受精卵の発育へより良い影響を与
える可能性があります。

3. 胚培養
必ず、先進医療Aのタイムラプスを用いて、胚を外に出さずにできるだけ体内と同じ環境で培養します。培養液もこれまで使用した培
養液が分かれば、異なる培養液へ変えることも検討します。
AMH値がある程度あり、複数卵子や正常受精卵ができれば、いくつかの前核期胚は透明帯を除去して、胚発育の際に圧迫される透明帯
から自由にして胚発育させることもよいかと思います。これにより、良好胚盤胞になる症例も見受けられます。


病院選びについては、設備が整っており、症例数が多く、多くの経験を持った医師がおり、患者の話をよく聞いてくれ、複数の治療選択肢がある施設が良いと思います。

患者側としては、夫婦で禁煙すること。(喫煙は卵子や精子の染色体異常を引き起こします)
規則正しい生活(睡眠、バランスのとれた食事)、上手くストレス解消させること、またサプリメント(葉酸800μg/日を採取、ビタミンDの採取等)、夫婦で会話する機会を設けることなどです。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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