【Q&A】成熟卵が採れません~藤井雄太 先生【医師監修】

りんごさん(32歳)

32歳、不妊治療4年目です。AMH1.89、これまでアンタゴニスト法、ショート法、低刺激法、PPO㻿法を実施するも胚盤胞凍結がなかなかできずにいます。
また、過去に数回胚盤胞の凍結胚移植を実施したのですが、陰性で一度も妊娠に至ったことがありません。
ここ数ヶ月の治療経過から、月経3日目のE2高値(平均100~160)、FSH高値(平均10~15)のため医師の判断でロング法を試してみることとなり、前周期月経22日目~ブセレキュアを1日4回行ってみたところ、月経3日目のE2が5.0、FSHが3.4、LHが2.0まで下がり、卵胞の大きさも左右均等(平均5mm)となりました。
月経3日目~8日目までゴナール225、月経9日目~17日目までHMGフジ300を連日注射し、月経17日時点でE2が3000超、卵胞も左右で10個程度見えており、最も大きいもので22mmまで成長したため月経19日目で採卵決定となりました。(なお、月経17日時点のLHは2.5、Pは1.07でした。)
トリガーはHCG(オビドレル)を採卵2日前の18時に打ち、トリガーから約40時間後(午前9時半~10時頃)採卵となりました。結果は成熟卵が2個しか採れず、想定していた数よりかなり減ってしまい、ほぼ未成熟だったとのことでした。
連日注射も実施し、E2も採卵2日前に3000超だったにも関わらず散々な結果だったため排卵誘発法が合っていなかったなと自分では感じております。

これまで様々な排卵誘発法を実施してもなかなか成熟卵が採れなかったり、胚盤胞凍結ができずかなり苦戦しているのですが、このような場合、今後どのような排卵誘発法が合っているのでしょうか。
もしくは、排卵誘発法を見直すというよりはトリガーの時間を見直すだけでも成熟卵獲得に繋がる可能性はあるのでしょうか。

藤井雄太先生に聞いてきました

親愛レディースクリニック 副院長・藤井雄太 先生
滋賀医科大学卒業。兵庫県内の市民病院、大学病院、リプロダクションクリニック大阪・東京を経て親愛レディースクリニック副院長就任。日本生殖医学会生殖医療専門医。「同じような悩み、同じ病気でも同じ治療が適切とは限りません。ひとり一人の悩みに寄り添い、その方に最も適切な医療を提供することを心がけています」
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

なかなか厳しいご状況ですね。AMH1.89といえど、採卵15回で、胚盤胞が4個はかなり苦しいです。初期胚の状態も気になりますが…。MⅡ率も改善させて、受精の資格がある卵子をたくさん確保しないと苦しいです。

成熟率の改善は、トリガーに関していうと、「①トリガー時間から採卵時間までを長くする」「②トリガーを強化する」「③dualトリガー」などが挙げられます。
①に関しては40時間でのトリガーはギリギリいっぱい長くしていると思います。
②はhCG10000IUやhCG20000IUで改善する人もいます。
③GnRH agonist点鼻薬とhCGを併用する方法で有効なことも結構ありますが、short法 long法では行えません。

OHSSリスク管理もありますが、PPOS法 or antagonist法で①②③を全て試みる価値はあると思います。

また、最大卵胞径も大切です。成熟率に困っているならば、最大径は28mm近くまで大きくする方が功を奏することが多いです。

ZyMoy-cIVFはされたことはあるでしょうか?難しい方は、ついついIMSI、PICSI に流れがちですが、打率(胚盤胞到達率)が低くても、cIVFで数こなす方が良い場合もあります。

過去の採卵15回から、何が良さそうで、何が悪そうかを解析し、上記を組み合わせて、色々試していくしかないと思います。転院されるなら、今までの採卵データ全てを持参されるされる方が良いと思います。

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