ほくほくさん(30歳)
D19で排卵確認できず黄体補充を行い移植日をむかえた際エコーにて「卵巣出血(28mm程度、自覚症状なし)がある」]と医師より言われましたが、自分的にはLUFではないかと思っています。
<質問1>エコーで卵巣出血とLUFとは見分けがつくものなのでしょうか?
<質問2>LUFについて調べると「原因のひとつに癒着がある」出てくるのですが、LODや採卵でも癒着が起こる可能性はありますか?(因みにAIHの後に排卵チェックがない病院だったのでこれまで排卵していたかは不明です)
<質問3>もし次移植するならホルモン補充周期と自然周期のどちらがいいと思いますか?
山形大手町ARTクリニックの川越先生に聞いてきました。
【医師監修】山形大手町ARTクリニック川越医院 川越 淳 先生
山形大学医学部医学科卒業。同大学院医学系研究科医学専攻修了。ベイラー医科大学分子細胞生物学分野にて研究。山形大学医学部産婦人科学教室にて助教、講師を経て、川越医院の院長に。大学院時代から一貫して、女性ホルモンの受容体を介した生体に与える影響について研究。アメリカ滞在中は、女性ホルモン受容体の作用を調節する因子の研究を行う。研究成果の1つは、基礎生命研究分野のトップジャーナルに報告。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
治療経過を確認させていただきました。
多嚢胞性卵巣症候群による
排卵障害で、
生殖補助医療の適応となったものの、
なかなか期待する結果が得られていないとのことで、
私もとても残念に思います。
最新の胚移植で結果が出ることを心より願っております。ご質問をいただいた件につき、
以下のように考えをお伝えいたします。
①黄体化未破裂卵胞(LUF)と卵巣出血との区別が超音波検査(エコー)でつくかどうか?について超音波検査での見た目が異なるため判断できます。LUFの場合は卵胞破裂が起こらなかったためその内容には出血成分が含まれないと考えられます。超音波検査では卵胞液と血液との間では内容成分の違いのため、音波の反射が異なることから画像上の見た目の違いがあります。LUFの場合は内容が主に水分のため音の反射が起こらないため暗く均一な陰影となりますが、血腫では内容に細胞成分や凝固した血液が含まれるため音の乱反射が発生しやや白く不均一でモヤモヤした陰影になります。
②LODや採卵により卵巣周囲に癒着が起こる可能性があるかどうか?について
可能性は低いが起こり得ると考えます。ただし、それが今回のLUFかもしれないという経過の原因だと考えるのは、悪く思い込みすぎだと思います。一般的には、LODや採卵で仮に癒着が生じたとしてもその程度は非常に軽微で、卵巣の排卵機能に影響を及ぼすものとはなり得ません。また、LUFは手術の有無によらず起こり得るものです。
③つぎの移植の際にホルモン補充周期と自然周期のどちらが良いか?について
可能なら排卵周期でトライしたいと私は考えます。ホルモン補充周期と比較して排卵周期では、妊娠合併症リスクが低い、妊娠継続率がやや優れている、といったメリットが報告されているためです。ただし、多嚢胞性卵巣症候群の方の場合、排卵誘導が期待通りに進まない場合があり、その際にはホルモン補充周期での胚移植の方が適切です。その辺りの判断は実際に診療させていただいた上での相談が必要です。
治療にあたっては、実際に治療に取り組まれた際の所見や医師の判断により決められるため、治療に参加していないものとしてはわからないことも多々あり、やや曖昧な言い方になり申し訳ありません。今回の治療に関しては、排卵のタイミングがよくわからないまま移植を決定された点について疑問に思われているように推察いたしますが、その点に関し、TRIO検査のデータをどう参照されたのか、移植タイミング(特にhCG投与から移植までの時間について)をどのように判断されたのか、は確認されてみても良いかと思います。
治療経過が期待通りであるものと願っております。