採卵の痛みへの恐怖感で体外受精へのステップアップを悩んでいます【医師監修】

【医師監修】ささ山高宏 先生 産業医科大学医学部医学科卒業。産業医科大学病院、和歌 山労災病院、九州労災病院、セントマザー産婦人科医院の勤 務を経て、1997年4月、幸の鳥レディスクリニックを開業。 患者さんを一人ひとり大事にする姿勢で生殖医療に携わる。A 型・おひつじ座。プライベートでは以前より、クラフト飛行機 にはまっているそう。「キットを買って作る過程から、完成品を 飛ばしに外に行くまで、とてもワクワクします。高く、そして長 く飛んでくれる時の気分は最高です」と先生。
アキさん(32歳)Q.不妊治療に通って3年、かなり突っ走ってきて疲れてしまい、今年2月からお休み 中です。今まで人工授精を8回行い、4回目の時にドクターに体外受精をすすめら れましたが、恐怖感から挑戦しませんでした。でも次回は体外受精にチャレンジしよ うと考え、説明会に行くつもりです。 治療内容は簡単にカウンセラーから聞きましたが、やはり……採卵が怖いです。どの くらいの痛さなのでしょうか? 私は卵子ができやすいのですが、何個くらい必要な のでしょうか。また医師に「子宮が小さい」と言われたことも気になっており、今後、 正社員で働きながら治療を続けていけるか不安です。

原因不明の不妊

まず、アキさんのこれまで3年間の治療については、どう思われますか?
ささ山先生 アキさん、3年間、本当によく不妊治療を頑張ってきましたね。
通院や、毎回の月経が来た時の気分の落ち込みなど、いろいろなたくさんのストレスをよくがまんされてきたのだと思います。
そして、タイミング療法を半年、続いて人工授精8回と、大変だったことでしょう。
相談内容によると、精密検査は良好、ヒューナーテストは「精子が1回1個しかない」と不良、なかなか人工授精で妊娠しないということ、その他の検査は問題なし。
以上の点を踏まえると、おそらく不妊原因がはっきりしない、機能性不妊でしょう。

体外受精の痛みへの恐怖

体外受精へのステップアップをすすめられていますが、痛みへの恐怖感が強く、ためらっているようです
ささ山先生  医師にすすめられていることもありますが、アキさんご自身が、体外受精を選択することがベターだと十分にわかっていらっしゃるようですね。
また、子宮が小さいと言われたようですが、月経量も多めで内膜も十分厚いと推察できることから、不妊につながる様子ではなさそうです。
また、月経痛はひどいようですが、月経も来ていて、多嚢胞性卵巣ではないようですので、年齢的にもマイルドな卵巣刺激で卵胞を育てる方針で治療を行えば、過剰刺激を防ぎつつ、必要な卵子は採取できますよ。
実は、私事ですが先日、鼠径ヘルニア(脱腸)で手術を受け、患者さんの気持ちを少し実感しました。
近くの総合病院での手術でしたので、知人も多いし、恥ずかしいし、痛みへの心配もある……最初はとても嫌でした。
しかし、ふと「そうだ、患者さんの経験ができるチャンスだ」と思ったんです。
その後は入院の日も手術時も、大げさなようですが少しワクワクした気持ちで過ごせました。

働きながらの体外受精

最後に、アキさんにアドバイスをいただけますか。
ささ山先生 採卵は、適切に麻酔をして行えば痛くありません。
採卵の数についても、個々の治療方針によって違いますが、概ね8個を目安にします。
ただ、1〜2個の場合もあります。
お母さんになるために、体外受精は非常に有効な手段です。
不安をかきたてられるような情報が身近にあふれていると思いますが、体外受精で早い時期に妊娠する人が多いのは事実です。
また、働きながらでも十分両立できます。
逆に、働いている時間は不妊治療から気持ちを切り換えられますから、案外、そのほうがいい時もあるかもしれませんよ。
「体外受精とはどんなものか、ひとつ経験してみるか」という気持ちで頑張ってごらん。
福山からアキさんを応援しています。
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