薬や注射を使っても排卵しません。
妊娠は可能ですか?

談者 : かなさん(26歳)ずっと生理不順です。結婚後、不妊治療専門クリニックへの通院を開始。薬で生理を起こし、排卵させるために注射を打って女性ホルモンを増やしてもらっています。排卵を起こそうと薬を飲んだり、注射をしても2周期目でも排卵しておらず、3周期目に入ります。女性ホルモンの分泌は増えてきているようではありますが、どうすれば排卵障害を克服できますか。卵子の成長が遅いようですが、排卵や妊娠は可能ですか?
秋山レディースクリニック 秋山 芳晃 先生 東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊症・不育症診療に特に力を入れたクリニックとして新たに開業。

排卵障害とは? またその原因はどんなことが考えられるのでしょうか。

秋山先生● 排卵がうまくいかない状態を排卵障害と呼びます。排卵障害の原因としては、卵巣機能を調節する脳の働きに問題がある、多囊胞性卵巣症候群高プロラクチン血症など脳から卵巣にかけての全体的な機能の低下、閉経あるいはそれに近い卵巣そのものに問題がある、などが挙げられます。

かなさんの場合、もともとの生理周期や卵巣の機能や予備能力に関するホルモンの数値(AMHの数値など)がわからないので何ともいえない部分はあるのですが、閉経に近いような極端なホルモン異常がないのであれば、飲み薬や注射などのいわゆる排卵誘発剤で排卵をうながしていくという治療が一般的だと思います。

実際、今そのような治療を受けていて、卵巣は薬に反応して女性ホルモンが増えてきているようですが、排卵までには至っていない状況のようですね。

排卵させるために、今後どのような治療方針を立てていけばいいのでしょうか。

秋山先生●排卵しにくい方のなかには排卵誘発剤を使用しても排卵まで時間がかかるケースもあります。

まずはクロミフェンやフェマーラ® など飲み薬の排卵誘発剤で反応をみて、反応が乏しければ注射の排卵誘発剤を追加していきます。この場合、時間がかかってもしつこく注射を続けていくと卵胞の発育がみられることもあります。

あくまでも個人的な経験ですが、生理開始日から数えて35~40日目くらいまでの排卵であれば妊娠している患者さんも少なからずいらっしゃるので、当院で治療している患者さんには「時間がかかってしまうかもしれませんが、もう少し頑張ってみましょう」とお伝えしています。

注射の量は超音波で卵胞の発育をみながら調節していきますが、それでも卵胞がなかなか大きくならない、もしくは卵巣が反応しすぎてしまい、たくさん排卵してしまうことも。このような場合は、多胎妊娠を避けるために性交渉を避けていただかなければならないこともあります。

繰り返し排卵がうまくいかない場合や多くの卵胞が育ってしまうようであれば、ご本人も精神的におつらいかと思います。一般不妊治療からステップアップして、体外受精を受けてみるというのも選択肢の一つになるのではないでしょうか。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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