【Q&A】精子所見で移植後の着床や妊娠継続は変わりますか?~福田雄介先生【医師監修】

ほのぼのさん (34歳)
2020年に凍結保存していた5日目4AB胚盤胞を今年の3月に移植し妊娠しましたが、8週で流産してしまいました。
6月に再度採卵。4ABと4BCの胚盤胞2個を凍結保存し、4ABを7月に移植。陰性でした。
9月に再度採卵。4ABを1個凍結保存して10月に移植予定です。
ここ数か月で同じ4ABを2回移植し1回目は妊娠→流産。2回目は陰性という結果です。今回は3回目の4AB移植なのですが、採卵時の精子の所見が2020年当時は全て基準クリアで良い精子と言われました。今年6月採卵時は液量1.0ml 濃度149.7 運動率93.3でした。今回移植予定の4AB採卵時の精子所見が液量0.8ml 濃度32.3 運動率70.0でした。明らかに6月と9月では精子の所見が悪くなっていますが、同じ胚盤胞4ABです。
今後移植した後の着床率や妊娠継続率は、採卵時の精子の所見もしくは卵の質によって変わってくるのか知りたいです。

福田先生に聞いてみました。

【医師監修】福田ウイメンズクリニック 福田 雄介 先生
東邦大学医学部卒業、東邦大学医学部大学院修了。医学博士(東邦大学 平成22年)。米国ペンシルベニア大学生物学教室留学、東邦大学医学部産婦人科学教室講師などを経て福田ウイメンズクリニック副院長に就任。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医。日本生殖医学会認定生殖医療専門医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●採卵時の精子もしくは卵の質によって、同じグレードの胚盤胞でもその後の着床率や妊娠継続に影響が出ると考えられますか?

影響は出ると考えられます。

卵子の質は年齢とともに低下するとされており、良好な胚盤胞(同じグレードの胚盤胞)であっても異常胚である確率は年齢とともに上昇します。精子の質も低下するとされていますが、卵子に比べ緩やかで影響も限定的と考えます。

●今後移植した後の着床率や妊娠継続率は、採卵時の精子の所見もしくは卵の質によって変わってくるのか知りたいです。

採卵時の年齢が卵の質に影響しその結果、得られた胚盤胞の着床率や妊娠継続率は影響します。

精子の質も影響しますが精子の所見(精液所見)に関しては顕微授精を行なっていることから卵子の数だけ質の良い精子がいれば良いことからそれほど影響がないかもしれません。

●一度目の採卵時に比べて精子所見が明らかに悪くなったのは、どのような原因が考えれますか?

一時的な事も考えられますが再検査しても変わらないようであればホルモン的な異常や精索静脈瘤なども考えられるので検査を勧めます。

●今後の治療についてアドバイスをお願いします。

妊娠成立には胚盤胞の形態だけではなく様々な因子が影響します。
卵子の質の改善は難しいのですが、数ある精子の中からより良い(質の良い)精子を選別する方法としてマイクロ流体技術を用いた精子選別(Zymot)という方法が先進医療としてあります。保険診療と併用が可能ですので検討してみても良いかと思います。

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