知りたい! 台湾での卵子提供

コロナ禍による渡航制限が緩和。台湾で母になる道へ

費用や治療の流れ…知りたい! 台湾での卵子提供

卵子提供を国が法的に認めている台湾。日本からも卵子提供を受ける患者は年々増加しているのだとか。
そこで治療の流れやポイントなど、TFC台北産婦人科クリニック生殖医療センターのCEO曾啓瑞先生にお聞きしました。

TFC台北産婦人科クリニック生殖医療センター 曾 啓瑞そうけいずい) 先生
TFC台北産婦人科クリニック生殖医療センターCEO。台北医科大学卒業後、渡米。ハーバード大学の大学院修士課程に進み、1983年までブリガム・アンド・ウィメンズ病院の不妊症と内分泌の研究員として在籍。1985年に台湾初の体外受精児誕生に成功した医師、子宮内膜症研究の大家として、日本の生殖医療の世界でも高名。2002年世界初のミトコンドリア移植(MIT)による妊娠を成功させた。

法律で守られた台湾で卵子提供という選択肢

台湾では、法律で卵子、精子提供が認められており、国の管理下で安心して治療を進めることができます。生殖医療に携わる機関はすべて、人工生殖法に基づく必要があり、卵子提供の包括的な計画が含まれているため、子どもを授かりたいという願いを叶える選択肢の一つです。

台湾国民健康署が公表した2020年の「人工生殖レポート」の統計によると、晩婚と高齢化が進み、不妊に悩む約5%の人が卵子提供で出産しています。卵子提供を受けた女性の中で40~44歳の年齢層が最も多く(35.9%)、次に45~49歳(34%)の年齢層が続きます。

台湾で卵子提供の対象になるのは、高齢により治療しても妊娠できない方、生まれつき卵巣に異常があり卵子が存在しない方、手術や免疫が原因で排卵機能が失われている方です。またドナーの名前や住所など開示することは法律で認めていません。ただし、人種や肌色、血液型などの情報を知ることができます。

日本語による専属サポートや専門性など施設選びの参考に

当センター(以下TFC)は平均20~30年の治療経験のある8名の医師と経験豊かな培養士や薬剤師などからなる生殖医療専門のクリニックです。体外受精・卵子提供などの不妊治療を一貫して行っており、設立から3年間で約800 人以上の赤ちゃんの誕生をサポートしています。稀なケースですが、55歳の方の妊娠実績もあります。

「台湾国家品質標章(SNQ)」を2年連続で取得しており、また台湾の衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)より国際医療観光会員機関の認証を受けています。これにより医療滞在ビザが一般の医療機関より優先となります。国内をはじめ、日本、中国、韓国、シンガポールといった近隣国だけでなく、アメリカやカナダなどさまざまな国から治療に来られます。なにより、海外から来院される患者さまの不安は言葉の壁だと思いますが、日本語や英語が話せるスタッフが在籍しており、渡航時から専属のサポートを行うので安心して治療を行えるかと思います。

事前にしっかりと情報を得て安心して、治療スタートを

海外からの患者さまの渡航の負担を最低限に抑えるため、2回の渡航で卵子提供治療を完了することも可能です。TFC では渡航前に、専属の日本語医療コンサルタントが患者さまの身体状況について確認し、正式に卵子提供治療を受ける場合は初回のオンライン診察を無料で受けることも可能です。医師との専門的な相談を経て、検査等治療前の準備をスタート。その後、患者さまの生理周期に基づいて台湾への渡航日程をご提案します。必要な書類の準備や空港への送迎予約の手配などもサポートしているので、海外からでも効率的かつ安心して台湾での治療を受けられるかと思います。

卵子ドナーの選択基準において、事前に遺伝子検査などを行って感染症や基礎疾患などがないことを確認しています。さらにTFCではより質の高いドナー卵子をご提供するために、独自にすべてのドナーに対して事前検査で排除できる遺伝子疾患検査を実施するなど、より厳しい基準を設けています。

1回目の渡航では、夫婦での初診や血液検査を行い、卵子提供治療の同意の公証手続きをサポート。精子の採取を行います。帰国して、マッチングの結果を待ちます。その後、国民健康署の審査を経て、2回目の渡航となり、培養士が卵子提供者の卵子と精子を受精および胚培養を行います。場合によっては、渡航前に子宮鏡検査やPGT – Aなど子宮内膜環境の調整等を行うこともあります。移植を伴う治療のため精神的にとてもハードなので、奥様一人での渡航ではなく、ご主人またはご親族との渡航を推奨しています。そして帰国後、移植14日後に妊娠検査を行います。

年齢制限はないが早めの判断がベター

台湾の人工生殖法において、法律上は卵子提供を行うにあたり最高年齢の制限はありません。しかし、医師からの推奨として、患者さまの高齢等による卵巣機能の早期衰退、先天的な卵巣機能の異常、染色体疾患の遺伝子持ちなどの可能性をできる限り避けるためにも、早めの判断が必要です。TFCでは信頼できる医療チームが患者さまの声に耳を傾け、妊娠および出産のリスクを総合的に診断したうえでアドバイスや提案を行い、心を込めて最善を尽くします。

TFC 台北産婦人科クリニック生殖医療センターの卵子提供実績

卵子提供の費用

卵子提供のスケジュール(例)

1 回目の渡航(1~2日滞在)

ご主人様が日本で6カ月以内に検査した梅毒とHIV の検査報告をご持参いただければ、滞在期間は1 ~ 2 日のみとなります。

① 夫婦共に来院、医師からの面談・審査、血液検査

② 精子の採取、検査後に凍結

③ 卵子提供治療の同意手続き

卵子提供者とのマッチング

●適したドナーを探し、審査結果を待ちます。※平均1カ月半

●治療に関することはオンライン診療で医師から説明

●採取した卵子と精子を受精させ、培養

2回目の渡航(7 ~ 10 日滞在)

子宮内膜の状態を確認後、胚を移植。移植後は妊娠判定までの黄体ホルモンの補充が必要なため、帰国後の分も含めて薬を用意

血液検査を受け妊娠を確認。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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