未来の私のための新しい選択肢!「卵子凍結」って知ってますか??

今、女性の生き方は多様化しています。「仕事をがんばりたいが、いつかは子どもが欲しい」、「結婚したいけれど、これという相手になかなか出会えない…」など、将来に向けての悩みもいろいろあるようです。

そんな中、2023年より東京都が都内在住の18~39歳(※採卵を実施した日の年齢)までの女性に対し、卵子凍結する際にかかる費用の助成をスタートしました。ただ、卵子凍結をするとどんなメリットがあるのか、凍結する場合、どんな処置が必要なのかわからない人もいるでしょう。そこで、オーク銀座レディースクリニックの船曳美也子先生に卵子凍結のメリットや方法などについて教えていただきました。

【医師監修】オーク銀座レディースクリニック 船曳美也子 先生
日本生殖医学会生殖医療専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。母体保護法指定医。神戸大学文学部心理学科、兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学、西宮中央市民病院、パルモア病院勤務を経て医療法人オーク会へ。エジンバラ大学で未成熟卵の培養法などを学んだ技術と自らの不妊体験を生かし、患者さんのライフスタイルなどに合った診療を行う。また、早くから不妊と肥満の関係性に着目し、2ヶ月で14kgの減量に成功した患者様の排卵障害が改善したことから、ダイエット・プログラムを発案。国内外の学会発表多数あり。

卵子凍結は、今は妊娠の予定がないが、将来、自分の卵子で出産したい人にとって新しい選択肢の1つ

卵子は、女性が母親の胎内にいる間に作られ、その後は新たに作られません。また、女性が年齢を重ねるとともに卵子もいわゆる老化がおこり、妊娠しづらくなると考えられています。

卵子凍結とは、卵子を若いうちに採っておき、液体窒素の中で凍結保存。その人が妊娠や出産ができる状況になったら融解して精子と体外受精させ、その受精卵を子宮に戻して妊娠、出産をしようというものです。

今は妊娠の予定がないけれど、将来、自分の卵子で出産したいと考えている人にとって新しい選択肢の1つとなります。

かつて未受精卵の凍結は技術が未発達で、融解する時にくずれるなどのトラブルが見られましたが、長年の研究で技術がレベルアップ。さらに需要が増えたことで最初はイスラエル、その後2013年にヨーロッパやアメリカでも卵子凍結をOKとするガイドラインが作られ、それに追随する形で日本でも卵子凍結に関するガイドラインが作られました。

ちなみに当医療法人では患者さんからの要望に答える形で2008年にはじめて卵子凍結を実施した経緯があります。また2016年には同じ医療法人で大阪にあるオーク住吉産婦人科で40歳以上で凍結した卵子を使った出産が日本初と話題になりました。

以前は卵子凍結について相談に来られる方は限られていましたが、東京都で助成金がスタートしてから30代を中心にいろいろな年齢の方が相談に来られるようになりました。

卵子凍結は日本産科婦人科学会が定める高度医療施設で行われ、採卵と凍結保管の合計費用はおおよそ50万円程度

卵子凍結は日本産科婦人科学会の高度生殖医療ができる施設で行われています。一般の婦人科ではできません。

またかかる費用は、当院の場合ですと採れる卵の数や使う薬によって違いがありますが、初診から採卵、保管まででおおよそ50万円程度前後になります。排卵誘発剤など使う薬や採卵数が少なければ30万程度になることもあり、逆に薬を多く使う、採卵数、凍結数が多い場合は70万ぐらいになることもあります。

卵子凍結を希望してから採卵まで最短で約1~2カ月

当院で卵子凍結を希望する場合、希望してから凍結まで最短1~2カ月となります。医学的理由で急ぐ場合は約2週間です。

まずオンラインでお話を伺います。その後、来院してもらい、採血と診察。数日後、採血の結果をふまえてオンラインで採卵計画をお話し、採卵周期に入ります。どのくらい卵が成長したかを超音波で確認したいので3回ほど来院してもらい、その後採卵。通常の場合、初回のオンライン相談から約1~2カ月後に採卵し同日凍結する、という流れになります。

ちなみに東京都の助成金を申請する場合は、前もって東京都の講習会を受講することが決められているので、もう少し時間がかかると考えてください。

1回の採卵数は10~15個が理想的

目安としては1回で10~15個がベストと考えています。

1回でできるだけたくさん採卵できれば効率はいいんですが、多すぎると、採卵後の約7日間合併症がでるリスクがあがります。卵子は2cm程度の卵胞と呼ばれる袋に入っていますが、採卵したあともその袋が卵巣にしばらく残ります。たくさん卵がとれるということは、その袋がたくさん卵胞に残るということ。そうなると卵巣が腫れすぎるので、1回の採卵は15個程度までが良いとされています。

逆に採卵できた数が7個だった場合、追加で採卵するかはご本人の希望次第になります。「念のため採卵してみた」ということでしたら、追加でしなくてもいいでしょう。また、採卵した年齢によって妊娠率は異なります。高年齢になれば妊娠率は下がっていくため「この後海外で仕事するため、次に採卵できるのが何年後かわからない」という場合は、今のうちに追加で採卵しておくという方法もあります。合計の凍結卵数が多ければ全部つかったときの出産確率もあがりますが、費用もかかりますので、医師と相談してみてから決めてもいいかもしれません。

採卵できる年齢に厳密な決まりはないが、できるだけ若いうちの方が妊娠率は高い

採卵はできれば若いうちにしておいた方が妊娠率は高くなります。20代~32歳までは妊娠率はほぼ一緒ですが、そこから徐々に下がっていきます。37歳以降は妊娠率の下がり方は2倍になるといわれています。日本生殖医学会では、卵子凍結するなら35歳までに、そして移植は45歳までにすることを推奨しています。

ただ高齢になればなるほど妊娠高血圧や妊娠糖尿病など、妊娠や出産のリスクが高くなることも知っておいてください。

凍結卵子と凍結受精卵での妊娠率は一概に比較できない

凍結した卵子と、受精させた状態で凍結したものとの妊娠率の違いについて知りたいという方もいるかもしれません。出産した数が分子として、卵子と受精卵が分母だとします。そもそも卵子から移植できる受精卵までいく間に普通の過程で1/5くらいに減ります。卵子が10個あったら2~3個です。そういったことから考えると分母が違うため、どちらの妊娠率が高いかは一概に比較できません。

また、33歳のときに採卵して凍結しておいた卵子と、33歳のときに採卵してそそのまま新鮮な卵子とで比較した場合ですが、受精卵からの出産率はほぼ同じといわれています。ただ、受精卵になるまでの率をみると、凍結卵子の方が若干低くなるというデータもあります。

凍結卵子で出産された赤ちゃんが出産後どう育ったかなどについては、これから検証されていく分野になります。

卵子凍結を行う際のリスクは卵巣が腫れる、採卵後の痛みなどがあるが大きなリスクは少ないと考えて

卵子凍結を行ううえで気を付けたい大きなリスクは、さきほどお話した採卵後に卵巣が腫れるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)というトラブルです。

採卵時、卵巣に針を刺して卵をとるため、少量の出血やおなかの痛みが生じることがあります。また、感染のリスクもゼロではないのですが、可能性としては高くはありません。

たまに「無理にたくさん採卵したら早めに卵の在庫が減るんじゃないか」と心配される人もいますが、それは大丈夫です。すでに卵巣の中にある卵子は、排卵する5カ月前から起き出します。その起き出した卵子達は排卵する1個を除いて吸収されます。それらの卵子をなるべく多く育てて採ってあげる、わけです。

また、凍結卵子を使って受精させる場合、体外受精ではなく、顕微鏡でみながら1個の精子と卵子を受精させる顕微授精が必要になります。そのため多少コストが嵩みます。そしてある程度の期間、凍結保存させておくため、保管システムが整っているところか、凍結卵子での妊娠や出産の実績を出しているところかもチェックしておいた方がいいでしょう。

卵子凍結は将来の自分の選択肢が増える手段の1つ

今は結婚や妊娠したい気持ちがないとしても、若いうちに卵子凍結をしておくことで、将来、「妊娠・出産」という道を選ぶことも可能になります。

選択肢が増えるという意味でとても良い技術、卵子凍結をお考えの方は、サポートしたいと思いますので、ぜひ一度ご相談くださいね。

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