【Q&A】高温期のホルモン値についてと黄体化未破裂卵胞について~田中紀子先生

もなかさん(37歳)

採卵を予定していましたが、クロミッドで予想外に卵胞の成長が早く20mmの卵胞が1つあり、採卵予定日の予定もあったため急遽タイミング法になりました。その日にHCG5000をうってクリニックから帰りました。HCG5000を打って8日後に排卵確認をして高温期のホルモン値の検査をしてデュファストン(1日2錠)を処方してもらいました。しかし、その時に12mmの卵胞が育っていま
した。
いつもホルモン剤をやめると2日後に生理が来るのですが生理が来ないのですが週末を挟むので金曜日に通院しました。
排卵確認した日に育っていた卵胞は30mmに育っていました。エコーで妊娠していないなって思うことができました。先生も『土日に生理が来るでしょう』とおっしゃったので生理が来ると思っていたのですが、診察の時に前回検査したホルモン値がE2が1016でP4が19.49でした。この数値を見て先生が『数値が倍あるから様子見でもいいかも、けれど土日に生理が来るかもしれない』とみたいな言われました。

質問1
高温期のE2はだいたい500までだと言われました。採卵並の数値なのですがこれは良い数値なのですか?

金曜日の診察後から透明ののびおりが大量にではじめて、おりものに出血が混ざる感じになりました。土曜日も同じおりものに出血が混ざる感じだったので日曜日に生理かなと思いました。しかし、日曜日になって生理が来たかもと思っても生理が終わる感じの状態でいつもの生理になりませんでした。また空腹時の気持ち悪さもなかなか治らず”つわり!?まさか。”って
思いつつも違うなと思っていました。月曜日になっても生理始まりそうでも量が全然増えません。診察に行くと30mmあった卵胞が32mmに育っていて内膜も薄くなってるから増えるでしょうと言われました。

質問2
30mmの卵胞は黄体化未破裂卵胞でしょうか?
質問2
黄体化未破裂卵胞があるので今周期は排卵誘発剤の薬なしで卵胞を育てるのですかちゃんと育ちますか?
質問3
診察後も生理かなと思いつつもなかなか量が増えません。様子見をしていますが、こんな状態はホルモンバランスが乱れているのですか?

こ䛾周期について先生䛾ご意見も聞きたいです。

田村秀子婦人科医院の田中紀子先生に教えていただきました。

田村秀子婦人科医院田中 紀子 先生 京都府立医科大学医学部大学院修了。医学博 士。留学後扇町レディースクリニック勤務を経て、2008年より田村秀子婦人科医院に勤務。副院長。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

黄体化未破裂卵胞(LUF)とは、排卵の際に卵胞が破裂できずに、卵子が中にとどまったまま黄体化していくことをいいます。hCGの注射後にLUFになる方はいますね。例えば子宮内膜症クラミジア感染、開腹術の既往などにより卵巣の周りに癒着があるような場合に卵胞が破裂できずにLUFになることが多いです。通常黄体化するとE2は下がりますが、もなかさんのようにE2が上がったときは残った卵胞が発育した場合も考えられます。

卵巣刺激を行うと、自然周期とは異なり、排卵する大きい卵胞以外にも小さい卵胞も同時に育ち、大きい卵胞の排卵後に残った小さい卵胞が育ってくることは多々あります。それを利用して、最近は排卵後も刺激を続けて高温期にも採卵をすることがあります。

もなかさんの実際の超音波の写真をみていないのではっきりとはいえませんが、初めの20㎜の卵胞は排卵してLUFではなさそう。大きい卵胞の排卵後に新しい別の12㎜の卵胞が数日後に30㎜になっていて、E2値があがりオリモノが増えているのだと思います。もなかさんのように、プロゲステロンがでて、かつE2が高い状態を維持すると、なかなか次の生理がこない、オリモノがふえる、不正出血がある、などの症状が出たのだと思います。もちろん妊娠の場合も同じようになるので、妊娠の有無を妊娠検査薬などで確認が必要です。

高PRL血症は、乳汁分泌ホルモンであるプロラクチン(PRL)が高い状態で、ホルモンの分泌を抑えてしまい、排卵の抑制や黄体機能の低下がおこります。治療では内服薬を飲んでもらい、PRL値を正常化させることができます。もなかさんがもし治療されているのであれば、問題はないと思います。

次の周期はホルモンのバランスが乱れていることが多いです。おそらくこの30㎜の卵胞も次の周期に残りまだE2が高いことが多いので、他の新しい卵胞は育ちにくいと思います。次々周期のためにも、次の周期は自然にみるか、ホルモン剤などで卵巣を休ませて、次の周期をしっかりと整える必要がありますね。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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