周期によって卵胞の発育が違いなかなか妊娠しません
神谷レディースクリニック 岩見 菜々子 先生 札幌医科大学卒業。2014 年より神谷レディースクリニック勤務。日本生殖医学会生殖医療専門医。日本産科婦人科学会認定専門医。日本抗加齢医学会専門医。
相談者 : しょうさん(39歳)1 年前に2 人目を自然妊娠しましたが、育たず流産手術をしました。その後なかなか授からず、人工授精を4 回。少し疲れたのでクロミッド® で卵胞を増やしてタイミング法に戻しました。先月は卵胞が2 つ育ちましたが妊娠できず、今月は卵胞の育ちが悪いためD12 で注射。D16 にはエコーで5 つを確認しましたが、「育ちすぎだからリセットね」と言われてしまいました。その後、クロミッド® もリセットのための薬も飲み始められません。今周期はもう何もできないのでしょうか。
周期によって卵胞の発育が異なるのは、どのような原因があるのですか?
岩見先生● しょうさんの場合、自然周期で人工授精をしても妊娠に至らなかったため、卵胞数を増やすためにクロミッドRを飲んでみましょう、という治療方法だったのだと思います。卵胞の発育が少しゆっくりなので注射をしたら、急速に卵胞が育ってしまったと考えられます。同じ量のクロミッドRを内服しても、卵胞の発育の良い月もあれば、1個しか育たない月もあるなど、周期によって差が出ることは多くあります。これは、その月の卵巣の状態や、ストレスによる分泌ホルモンの状態の違い、内服薬なので代謝の違いなどが影響するためです。対策はなかなか難しいのですが、周期ごとに変動があることは知っておくといいですね。
今後、妊娠の可能性を上げるために、どんな選択肢が考えられますか?
岩見先生● しょうさんは月経周期が比較的順調ですから、排卵誘発剤を使わなくても毎月排卵がある方なのかなと思います。でも、2 人目をなかなか妊娠しない要因には、やはり卵子の老化が考えられます。当院のデータでは、人工授精で効果が得られた場合、85% の方が4回以内に継続妊娠となっています。ですから、4〜6回の人工授精、またはタイミング法で妊娠されない場合は、できるだけ早い段階で体外受精や顕微授精などART 治療を検討していただいたほうが、良い受精卵に出会える可能性は高まると思います。
なお、卵胞が多く育ちすぎた時は、リセットするのではなく、大きな卵胞以外は吸引して卵胞数を減らし、人工授精を行う選択肢もあります。すべてのクリニックで対応している方法ではありませんが、リセットを選択する理由を聞いたうえで、主治医に相談してみるといいでしょう。
受けたほうがいい検査や、今後へのアドバイスはありますか?