採卵15 回、移植 14 回、転院3回、流産3回を経て妊娠

採卵15 回、移植14回、転院3回、流産3回を経て妊娠
授かったことで周りが笑顔に。
治療を諦めなくて本当によかったです。
Mさんは35歳から不妊治療を開始したものの、最初のクリニックで抗精子抗体の数値が悪すぎると言われました。
それでも治療を続け、6年の月日を経てようやく妊娠。
その道のりと諦めなかった理由についてお聞きしました。

先輩夫婦のひと言で不妊治療をスタート

M さんが不妊治療専門のクリニックに通い始めたのは35歳の時。不妊治療で双子に恵まれた先輩夫婦から「子どもが欲しいなら早いほうがいいよ」とアドバイスを受けたのがきっかけでした。

「先輩が通っていたクリニックへ行き、いろいろ検査を受けたのですが、先生が驚くほど抗精子抗体の数値が悪くて。AMHも低く、極めて妊娠しづらい体なんだと自覚。ただ、子ども好きなので諦める気にはなりませんでした」

子宮内ポリープがあったので除去し、顕微授精をスタート。すると意外にも初めての移植が成功し、妊娠。しかし、9週目で流産してしまいます。

「想像以上に流産はつらかった。ただ、卵がまだ残っていたのと、顕微授精なら妊娠できるんだという証ではあったので、前向きにとらえて治療を続けました」

そのクリニックでもう一度採卵&移植を行いますが、結果は陰性。Mさんは転院を決意します。

「一番の理由は通いづらさ。診療時間が短すぎて仕事しながら通うには無理がありました」

次に選んだのは職場から若干遠いものの有名なクリニック。「ここではAMH、卵管造影のほか、着床不全かどうかを調べるTh1/Th2検査も受けました」

その結果、着床不全が起きやすいことがわかり、薬で治療を受けながら採卵を5回、移植を5回、行いました。一度、妊娠したものの6週で大量出血、流産します。

「それでも治療をやめる気にはならなくて。ただ、信頼していた先生が辞めることになったタイミングで転院しました。ここには約1年、通いましたね」

不妊の原因は子宮内フローラだった!?

3つ目のクリニックは、助成金先輩夫婦のひと言で不妊治療をスタートの申請に訪れた市役所の窓口にあったポスターで見つけました。

「“不妊治療の先生に相談できます”と書かれていて、予約の最後の1枠が残っていたので申し込み、翌月、先生とお話しできたんです。それが通うことになるクリニックの院長でした。実際に話したらとても優しくて。治療中って何度も心が折れそうになるだけにドクターの優しさって大事ですよね」

このクリニックで採卵9回、移植を7回行いました。途中、3回目の流産もありましたが、転院することなく約2年通い続けました。そして2021年8月、通算14回目の移植でついに妊娠! 初期出血がありましたが、幸い大事には至りませんでした。

「今回、妊娠できたのは40歳という節目の年に環境や治療スタンスを変えたことが大きかったと思います」とMさん。まず一つは勤めていた会社を辞めたことでした。

「25歳から同じ職場で働いていたのですが、仕事がきつかった。それで21年2月に退職し、翌月から月8回のパートの仕事へ転職。時間的に余裕ができたことでかなり気持ちも楽になりました」

次に採卵&移植のパターンを繰り返すのではなく、先に採卵をまとめて行い、その後に移植するやり方に変更。年齢的にも早いうちにできるだけ良い卵を採っておきたいと考えたからです。

「とはいえ40 歳を過ぎていたので数は少なくて。2月に初期胚で2個、4 月も初期胚で2 個、6 月は4個採れたうち、3個を胚盤胞までお願いしました。これまで初期胚で妊娠したことがなかったので。でも、それが良かった。6月の胚盤胞を移植して妊娠できたからです」

同じ6月に受けた子宮内フローラの検査の数値も良くなかったので、腟座薬を10日、サプリを1カ月飲み続け、改善に努めました。

「子宮内にも善玉菌、悪玉菌がいて私はどうも悪玉菌が多かったみたい。子宮内フローラの状態を改善できたことも妊娠できた大きな要因だと思っています」

後悔はしたくないから休まず治療を続けて

Mさんは6年間、休まず粛々とクリニックへ通い続けました。「自然妊娠は無理、クリニックへ行かないと子どもは授からない」と思っていたからです。結果が出ない日々が続くなか、自分より後に治療を始めた後輩が先に妊娠したり、マタニティマークをつけている女性を見かけるとうらやましくてつらくなることも多々ありました。それでも諦めず頑張ったのはご主人・Dさんの支えがあったからです。

「二人とも治療を休んでいる時間はもったいないと考えていました。50歳を過ぎてからあの時、休むんじゃなかったと後悔したくなかった。とはいえ、気分転換も大切。流産でどうしても妊活を休まなければならない時を利用して旅行をしたりしました」

Mさんは病院以外に鍼灸サロンへ通い続けていました。それも良かったと実感しています。

「鍼治療は自分に合っていました。3件目で素敵な先生と出会い、妊活情報もたくさんもらえて通うのが楽しかった。つらい時でもそこへ行くことで身体的にも精神的にも随分救われたんです」

諦めない気持ちが幸せを運んでくれた

取材当日、M さんは妊娠7カ月で4月に出産予定です。Mさんの誕生日が4月14日、予定日が24日と近いことから自身の誕生日に生まれてきてくれたらとDさんと心待ちにしているとのこと。

「子どもを授かったことで主人だけでなく、周りがこんないい笑顔になり、幸せになるのだと今、実感しています。私も子どもに“ママ”と呼ばれる日が楽しみでたまらないです。」

出産後は、凍結受精卵で第二子を目指すとのこと。諦めない気持ちの強さが奇跡を呼ぶのだとMさんのお話から感じずにはいられませんでした。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。