なかなか着床しない時…着床の窓がずれているのでは?
そう思うこともあります。
どんな時に検査するべきなのでしょうか?
藤本先生に聞いてきました。
藤本 尚先生
ころんさん(33歳)
1年前に人工授精で妊娠しましたが7週で稽留流産してしまいました。
その後、授からず、採卵してスプリット法にて凍結胚を3個(グレード4AB、4BB、4BC)得られました。
凍結胚移植しましたが、1回目(4AB)失敗。
凍結胚も多くなく、もしかしたら、着床の窓がずれていたらどうしよう…という不安な気持ちです。
ERA検査は高額なので、子宮内の細菌培養と不育症検査をしましたが、問題ありませんでした。染色体検査は行っていません。
先日、2回目の胚移植(4BB)を終えました。
どちらも、アシステッドハッチ、エンブリオグルーを実施しています。
良好胚を移植しても妊娠に至らない場合、どうしたら良いでしょうか?
やはり回数を重ねるしかないのか、仕事のストレスが関係しているのか…。それとも
ERA検査を実施して着床の窓を確認した方がいいのでしょうか?
コロンさん、こんにちは。さっぽろARTクリニックn24の藤本といいます。
ご質問の件にお返事させていただきます。
現在、2回の良好胚盤胞移植を行っても妊娠に立っていない状況で3回目もうまくいかないんじゃないか?と心配になってしまいますよね。日本産婦人科学会の2018ARTデータではコロンさん(33歳)の年齢における凍結融解胚移植の妊娠率は40%台前半くらいになります。もちろん1回で妊娠すれば一番ですが、実際には40%台です。反復着床不全の定義は3回の良好胚盤胞移植でも妊娠に至らない場合と定義されています。2回目の結果についてはわかりませんが仮にうまくいかなかった場合でも、3回は普通に凍結融解胚移植を行ってもいいかと思います(すでに2回目の結果が出て妊娠されているかもしれませんが、、)。
ERA検査は着床不全の方の一部に子宮内膜の着床の窓がずれている人がいて、そのずれを調べる検査になりますが、基本的な考え方としては着床の窓ずれている方の場合には常にずれているので過去の妊娠既往歴がないことになります(ERA検査を提供するIgenomix社が当初データとして出していました)。しかし、最近では子宮内膜炎などがあると着床の窓がずれるというデータも一部出ています。コロンさんは過去に稽留流産の既往があり、子宮内の細菌培養も行っており、問題がないとのことでしたので、前述の事(まだ2回しか胚移植を行っていないこと、妊娠既往があること、子宮内細菌培養が正常)も踏まえて2回目の胚移植が不成功だった時点でERA検査を積極的に進める状況ではないと考えます。ERA検査は高額になりますので、必要と思う人にのみご負担いただいて行うように私自身はしています。
もし3回目の移植もうまくいかない場合には着床不全の検査、ERAは妊娠既往があるので後に回して、Th1/Th2比などの免疫に関する検査を検討してみるといいかと思います。
ながながと書きましたが、一言で言うと僕なら2回目の胚移植が不成功であった場合には、そのまま3回目の移植を勧めます。
この返事をコロンさんが見た時点で2回目の胚移植がうまくいっていることを祈ってますね。