今は不妊のために行われる検査にはさまざまなものがあります。AMHの数値とPGT-Aの解析結果からわかる、相談者さまの状況と今後の方向性について、神奈川ARTクリニック院長の田島敏秀先生に教えていただきました。
PGT-Aとは、染色体異数性の胚を除外し、移植前に受精卵の染色体を網羅的に検査する方法です。この検査によって正倍数体の染色体をもつ胚を移植できるようになり、検査後の妊娠率が20%ほどと上がるようになりました。また、染色体異常の胚も前もって確認できるため、初期流産をして体だけでなく精神的にも大きなダメージを負うことが多かった方を、少しでも減らせる検査だと考えられています。(あくまで流産数を減少させますが、0になるというわけではありません。)
妊娠率は?
ぷーにゃんさんの卵子は少ないけれど、卵の質は良い、すなわち妊娠する可能性が高い卵と考えてOKですか。その場合、妊娠率はどのくらいになりますか。
受精方法が自然なのかICSI(顕微授精)なのかがご質問からだとわからないので、詳しい回答が難しいのですが、AMHが0.4でも胚盤胞到達率は高く、PGT-Aの検査結果も良いという結果から考えると、採卵数は少ないけれど、卵子自体には妊娠する力が充分にあると考えていいでしょう。
胚盤胞のグレードがわからないのですが、仮に胚盤胞のグレードがAAやABで、PGT-Aの結果が移植可能のA判定ならば、39歳であれば妊娠率は約70%になります。PGT-Aで移植可能なA判定の受精卵が3個あると、90%の確率で妊娠までいけると考えていいでしょう。
妊娠しないのはなぜ?
仮に妊娠する力のある卵子なのに、タイミング療法を1年以上続けて妊娠しないのはなぜでしょうか。
卵子に力が充分にあったとしても、妊娠に至らない理由はさまざま考えられます。排卵された卵子をうまく卵管に取り込めないピックアップ障がいや、ぷーにゃんさんの言う通り子宮の環境が整っていないなども考えられます。
また、卵管内の環境が芳しくなく受精しづらい、精子の状態が良くないために受精できないというケースもあります。体外で受精卵になる確率が高くても、環境の異なる体内だと実は受精率が高くないということも考えられます。
では移植前に受けておいた方がいい検査はありますか。
そうですね。子宮鏡検査をし、着床の妨げになるようなトラブルがないかをチェックしておくといいでしょう。さらには着床不全と関係性が高いビタミンDの濃度、免疫検査や、甲状腺検査、子宮内乳酸濃度、慢性子宮内膜炎検査などは、受けておいた方がいいでしょう。
相談内容を拝見する限り、ぷーにゃんさんは近い将来、妊娠できると考えています。不妊治療ではストレスがたまることもあると思いますが、「自分には妊娠する力を備えた卵子がある!」と思って、治療にのぞんでくださいね。