皆さんの『声』を社会に届けます!「医療機関の情報開示の問題」について

心の声を

春号で募集したアンケートに、多くの方が「心の声」を送ってくれました。

ジネコはその一つひとつに目を通し、当事者たちの声を社会に届けていきたいと考えています。 今号では、集まった声のなかで最も多かった「医療機関の情報開示の問題」について、セントマザー産婦人科医院の田中温先生にご意見をお伺いしました。

田中 温 先生(セントマザー産婦人科医院)順天堂大学医学部卒業。越谷市立病院産科医長時代、診療後ならという条件付きで不妊治療の研究を許される。度重なる研究と実験は毎日深夜にまで及び、1985年、ついに日本初のギフト法による男児が誕生。1990年、セントマザー産婦人科医院開院。日本受精着床学会副理事長。順天堂大学医学部客員教授。

 

した声がまり

その一部をご紹介します。

・施設により治療内容、金額、言ってることがバラバラ。公開している治療成績も、数値の取り方がまちまちなので、公平な比較ができない。

・地方から東京に転勤し、地方との格差が激しいことを 知った。地方では選択肢もなく、それが正しいと思い 込んでしまう。男性不妊なのに詳しく調べてもらえず、 タイミング法しかせず 1 年半も無駄にしてしまった。

・近隣には不妊治療専門病院がないため、1 時間以 上かけて通っている。

・治療実績を公表している病院は少ないし、金額表を見たところで複数のクリニック間では同一条件での比較は難しい。初心者の病院選びは「運」次第なところもあると思う。

・病院によって治療方針の違いがかなりあり、同じ 治療でも自費診療のため金額がピンキリです。

・不妊専門の病院がもっと増えてほしい。医師と の相性もそうだし、治療方針も自分に合った所 に通いたい。

・とにかくクリニックによっての当たり外れが大 きすぎる。標準治療がないため、先生や施設によって方針も技術もさまざま。実績開示が義務でないのは意味不明。

・病院によって治療費が異なることが疑問です。また、設備や知識、方針もまったく異なります。

・同じ婦人科の先生でも一般の施設と治療専門の施設で は不妊に対する知識量はもちろんのこと、考え方や危 機感がまったく違うと感じました。もっと早く転院す れば時間を無駄にしなかったのではと少し後悔。

・待ち時間が長いので通院は時間・体力・気力と も大変だった。

医療機関の情報開示の必要字のなど田中先

治療の選択や継続などを判断するうえでデータは必要

情報開示についてはさまざまな意見がありますが、基本的に私は情報開示するべきと考えます。なぜなら、患者さんにとって出産に至るまでの治療内容や体外受精の回数などのデータは、自身の年齢や症状と照らし合わせながら治療内容の選択、継続の判断をするために必要であり、知りたいはずだからです。そのため、当院ではホームページ上で誰もが見ることができる情報を公開するとともに、来院される患者さんにはより詳細なデータを提示しています。

成績の良し悪しは数字だけでは図れません

その反面、担当する患者さんの人数や年齢、症状次第でクリニックごとに成績は異なり、移植ごと、採卵ごとなど分母によって妊娠率が変わるなど数字がもつ意味を見極めるのは難しいという側面もあります。また、公開する妊娠率・出産率の成績を上げるために年齢の高い患者さんやAMH 値の低い患者さんなど条件的に難しい患者さんを受け入れない、施設側が患者さんを選ぶという事例も海外では実際にあって問題になりました。

当院も所属しているJISART(日本生殖補助医療標準化機関)では会員施設からの情報提供を受けて集計し公開していますが、一定以上の治療レベルを保つ施設には条件が難しい患者さんの数が多くなるため、日本産科婦人科学会が公開しているデータより必ずしも成績が良いとは限りません。しかし、データの信頼性は非常に高いため、その数字よりも極端に高い、または低いデータの場合は「どうしてだろう?」と、まずは疑問をもっていただきたいですね。

施設選びの参考になる親切な情報開示を

日本は年間 100 周期以下のクリニックも多いのですが、やはりスタッフのスキルを維持するためには毎日何件も採卵や顕微授精を行いたいので、個人的な意見としては、1000 周期あると知見がたまり技術の維持向上が期待できて良いと思います。一番妊娠しやすいゴールデンエイジと呼ばれる 34歳以下のデータと、採卵 1回あたりの累積出産率も参考になるでしょう。患者さん一人ひとり、自分に合った本当に信  頼できるクリニックで治療を受けてもらうことを願い、今後も情報開示のあり方や提供の仕方などを考えていきたいと思います。

今回の田中先生のお話、どう思われましたか?

多くの声があがっている「治療と仕事の両立」、「費用や保険適用のこと」、「施設の格差(値段や医 療レベル)」についても取材をし、秋号で掲載する予定です。

一人でも多くの声を届けたいから、心の声をまだまだ募集しています。 ぜひアンケートにご協力ください!

ぜひ、アンケートにご協力ください!

実施期間5 月 25日 (火)~  6 月 25日 (金)

このコンテンツは、ジネコフリーマガジン2021夏号に掲載されます。送料も無料!

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。