Q 排卵がうまくいかないのに AIHを続けていてもいい?
ドクターアドバイス
やはり卵巣機能不全や多囊胞性卵巣である ために、
小林先生 この方の場合、排卵障害がポイントになると思うのですが、卵巣機能不全という状態とは違うのではないでしょうか。一般的に、卵巣機能不全というと早発閉経の人のことをいいます。もしAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値を測っていないようでしたら、まず検査を受けてみられることをすすめします。
卵巣機能不全なら計測できないほどの低値が出るのでは。逆に多囊胞性卵巣なら、年齢の平均値よりかなり高くなることも。AMH値が高いと排卵が抑制されますから、高値の人は気をつけなくてはいけません。
人工授精を5回実施していますが、今後続 けていっても期待をもてますか。
小林先生 もともと人工授精の妊娠率はそれほど高くなく、何も問題がない方でも7%程度。9回、 10 回と続けていっても2%くらいで、当院の場合、1年間に3000件ほど実施して、そのうち200人程度しか妊娠できていません。もちろんなかにはすぐ妊娠される方もいますが、長く続けたから妊娠率が上がっていくという治療法ではないんですね。
AMHの値にもよりますが、当院だと 30代の方ならだいたい3回が1セット。1セットやってステップアップを考えるか、少し工夫して2セット目に臨むか、検討していきます。mocさんはまだ年齢がお若いので、これまでとは違うやり方でもう少し人工授精を続けてみる余地はあると思います。
どこを変えていけばいいですか。
小林先生 体重はどのくらいなのでしょうか。肥満ぎみでBMIが 25 を超えていたら、不妊治療をお休みしてまずダイエットを。脂肪が多いと脳下垂体のホルモンのキャッチボールがうまくいかないので、体重や脂肪を減らしただけで自然妊娠する方もいます。
それから、多囊胞性卵巣で男性ホルモン優位になっていて、ホーマー指数が 2.4 以上あれば、メトホルミンという薬で卵子の質の改善をはかります。
排卵誘発法では、多胎を防ぎながら適切な刺激をするために自己注射で1日少量ずつ薬を入れていくという方法も。クロミッドⓇについても、生理5日目から5日間という通常のやり方では効かないこともあるので、当院では 10 日目や 15 日目からの使用、 あるいは2回飲む、1日おきに飲むなど、その方の状態に合わせて加減していくことが必要です。
また、人工授精の2、3日前に卵管通気法で卵管をガスで刺激してピックアップの改善をはかるなど、まだ工夫はできると思います。それでも結果か出なかったら、原因追及をする意味でも一度だけ体外受精に挑戦してみてもいいのでは。