AMH、高FSHでも 不妊治療を続けたい。

できる限りの対処法は?3年間でFSHの値が上がってしまい危機感を覚える40歳。

あと1〜2 年はやると決めた不妊治療で、最善を尽くすには?

FSHの値を下げ られる? 厚仁病院の松山先生にお聞きしました。

松山 毅彦 先生 東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海大学付属大磯病 院産婦人科勤務、永遠幸レディースクリニック副院長を経て、1996 年厚仁病院 産婦人科を開設。厚仁病院理事長。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖 医学会生殖医療専門医。

ドクターアドバイス

●卵巣予備能を改善する方策の相談を。
●生殖鍼灸・LLLTで血流・代謝改善を。
●併せてサプリメントの活用も。
helenさん(40歳)からの相談 Q.37歳から不妊治療を考えタイミング法を行っていました。昨年は高 温期が20日くらい続いたことが2度ほどありましたが、妊娠に至ら ず、人工授精に移行。MRI検査等も済ませてクロミフェンを使用し ましたが、卵胞の確認ができず血液検査をしたところ、FSHの値が 78.2mIU/mlまで上がっていました。カウフマン周期を3カ月とって もFSHは62.7mIU/ml。不妊治療を始めたころはAMH0.1ng/ml、 FSH10mIU/mlくらいでした。これまでチョコレート囊腫腹腔鏡手術 を行ったことがあり、子宮筋腫も2〜3個ありますが、不妊治療につい ては問題ないと医師から言われています。あと1〜2年は不妊治療を 続けたいと思うので、できることがあれば教えてください。

これまでの治療データ

検査・ 治療歴

タイミング法、人工授精、チョコレート囊腫腹腔鏡手術、 AMH0.1 ng/ml、FSH62.7〜78.2mIU/ml

 FSH の値の見方について教えてください。

松山先生  FSH は脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンのことです。卵巣の力をみるために FSH を測ることは時々あるのですが、値が高いということは卵巣が働いていないことを意味しています。今回は、卵胞の確認ができなかったので検査をしたら、FSH が高かったので卵巣が機能していないことがわかった、ということですね。

リセットするためにカウフマン周期を 3カ月とったと思うのですが、FSH は 62 ・7mIU / ml なのでやはり高い値のようです。

不妊治療を始めたころは AMH0.1ng / ml 、FSH10mIU / ml くらいだったのが、ここ 3 年でFSH の値が 78 ・ 2mIU / ml にまで上昇。

これは何を意味するのでしょうか。

松山先生 FSH の正常値は閉経以前の場合、 10mIU / ml 以下と言われています。 FSH の値が高いということは、それだけ下垂体から命令が出ているにもかかわらず、卵胞が発育しにくいということになります。目安としてはだいたい 20 mIU / ml を超えると卵巣機能が低下している可能性があると言われています。

helen さんの場合は、たまたまFSH が高かったのか残念ながら閉経に向かっているのかは、現在の情報からは断言できません。閉経年齢は一般的に50歳前後と言われていますが、個人差があり、早い人で 40 歳台前半、遅い人では 50 歳台後半に閉経を迎えます。また、FSH が高い方が、今後もずっと高いままであるとは言い切れないこともあります。ただ、現状では FSH がかなり高い状態なので、FSH をある程度まで下げることによって卵巣機能の回復を期待したいところです。

では、FSH を下げる方法はありますか。
松山先生 対処法としては一般的にカウフマン周期をとることなどで FSH の値をある程度低下させるようにしていきます。

年齢的にも、早く体外受精に進んだほうがいいのでしょうか。

また、低刺激ではなく高刺激を行うと結果は変わりますか。

松山先生  40 代からの不妊治療ということで、すぐにでも体外受精にトライすべきだという話をよく聞きます。たとえば、人工授精がうまくいかない場合は、ピックアップ障害などの卵管機能障害が考えられますので、体外受精に進むと妊娠する確率が上がるかもしれません。

しかし helen さんは今のところ卵巣がうまく機能しないために卵胞が育たないので、まずそこから解決しなければなりません。卵巣予備能がある程度あれば体外受精の際に高刺激も可能かもしれませんが、いつも卵胞が育つというわけではありません。卵巣予備能を改善したいところです。

では、現在の状況でこれからできることはあるのでしょうか。

松山先生 卵巣予備能の改善の為にはFSH レベルを下げていきたい。そのために当院ではまず、卵胞ホルモン製剤を続けて服用していただき、卵胞の発育状況を確認しつつ、卵胞が発育してきたらタイミング等をとっていただいています。育ってきた卵胞に対して体外受精ー胚移植を提案することもあります。

当院ではサポートする療法として統合医療を取り入れています。具体的には生殖鍼灸・低反応性レーザー(LLLT)・遠赤外線療法等で血流・代謝改善を目指しています。加えて葉酸・ビタミンDを始めとする妊娠にとって有利と言われているサプリメントの摂取も併せて提案しています。

 主たる治療はもちろんのこと、統合医療を併用することにより卵胞の発育ひいては妊娠成立を期待したいです。

まずは卵巣予備能を改善し、統合医療も併用しながら 卵胞の発育や妊娠を期待したいです。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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