Q 体外受精5回目。 ほかの誘発法や治療法は?

永井 泰 先生 東京医科大学医学部卒業。産婦人科・麻酔科認定医。1989 年、埼 玉県三郷市に開院。さらに環境を整え、よりよい医療を提供するために、 2015 年に診療所から病院へ改組。産科、婦人科をはじめ、不妊治療、 形成・美容外科、小児科と、女性が生涯かかわる総合的な医療を、温かく、 優しい環境の中で提供。
ドクターアドバイス
●凍結融解胚移植のできるクリニックへの転院を視野に。
●今のクリニックにこだわるなら低刺激で排卵する方法を。
かさん(?歳)からの相談 結婚、不妊治療ともに8年目になります。現在体外受精に挑 戦していますが、4回採卵、5回移植し、結果が出ていません。 卵巣年齢が高い(30歳の時に1.06ng/ml)ためか、採卵し ても最高3個までです。誘発方法は生理3日目からHMG注 射を約10日間打っていますが、これが〇〇法なのかよくわか らず…。卵子の数は少ないのですが、受精はうまくいき、グレー ドも2AAや2ABで先生はほめてくださいます…が、妊娠で きません。卵巣年齢が高くても誘発方法を変えることで、採卵 数は増えますか? また、受精卵の保管ができないので、妊娠 できないとまた1からスタートかと心身ともに疲れています。 できればこの病院で嬉しい報告ができれば…と思っています。

8 年もの長い間、不妊治療を続けていらっ しゃいますが、

先生はこの経過をどのようにお考えでしょうか?

永井先生 年齢が不明で、判断しにくい部分もありますが、 30 歳で AMH 値が低いと 言われたのであれば、 30 代後半くらいでしょ うか。チョコレート嚢腫も治療済み、ご主人の精子の数値にも問題はなさそうです。 8年間この状態が続いていることを考えると、ほかに何か問題があるのか気になりますね。

現在の排卵誘発法がわからないとのことですが、HMG 製剤は卵巣に直接作用し排卵を誘発するものです。途中 HCG 注射に切り替えて排卵熟成時に排卵させていると したら HMGーHCG 療法、GnRH アンタゴニスト注射に変えて排卵のタイミングを調節しているとしたらアンタゴニスト法かと思われますが、それぞれメリット、デメリットがあり、通常誘発法はその方の不妊となる原因を見ながら探っていくことになります。

グレードが2AAや2ABでほめてくだ さるということですが、

一般的にこの数値はよい数値と言ってよいのでしょうか?
永井先生 媒精後、 5 ~ 6 日の初期胚より発育した「胚盤胞」の評価をこのように示し ます。最初の数字の 2 は、胚盤胞腔が 50 % 以上のもので、その後 3 は完全胚盤胞、 4 は拡大胚盤胞、 5 はハッチング(孵化)が一部始まっている胚盤胞、 6 はハッチングが完了されているものです。そして最初のアルファベットが内細胞塊(将来胎児になる細胞)、次のアルファベットが栄養外胚葉(将来胎盤になる細胞)の細胞の数や密度を表し、密度が高ければAAという数値になります。 つまり「2AA」であれば胚盤胞腔が 50 % 以上で内細胞塊、栄養外胚葉ともに数値が 高いということになります。ただ、この受精卵をどの時期に戻すかが問題になります。グレードが 2 であれば、採卵後 4 ~ 5 日目 に移植するのが理想です。

ほかの誘発法や先生がすすめられる治療法 があれば教えてください。

永井先生 まず、こちらのクリニックで受精卵の保管ができない、というのが一番気になりますね。今は新鮮胚移植をされているのでしょう。ただ、現在は、凍結した受精卵を戻す「凍結融解胚移植」のほうが妊娠率が高いことがわかっています。 1 回ごと に採卵して、妊娠していないとまた一からやり直し、というのは時間的にも、凍結できない受精卵ももったいないですね。できれば、受精卵を凍結できるクリニックへの転院をおすすめします。

ただ、今のクリニックで結果を求めたいということであれば、低刺激で自然に近い排卵方法を探るしかないでしょう。もう試 されたかもしれませんが、クロミッドⓇを服用するなどです。ただ、低刺激法の場合は、ホルモン、子宮内膜、卵子の状態を慎重に見て採卵、移植しなければならず、見極めも難しいのが実情です。気持ちはお察ししますが、凍結融解胚移植を試されるのがベストではないでしょうか。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。