Q 精子も卵子も見た目はよいのに、 受精しないのはなぜ?
ドクターアドバイス
受精しなかった原因を調べることはでき ますか。
次回は顕微授精をすすめられているようで すが、実はこれは治療であると同時に原因検索にもなると先生は考えられたのではないでしょうか。顕微授精をする際は卵子を裸化、つまり卵の周りの細胞を取り除いてきれいにしてあげる処置を行います。その時、卵子自体が受精可能な成熟状態になっているかどうか確認することができます。
ですから、次の治療ではこれまで受精できなかった原因が少しでも解明できるのではないでしょうか。担当の先生は非常に妥当な判断をされたと思います。
刺激をしても採卵数が少ないのは?
吉田先生 子宮腺筋症をおもちということですが、これだけなら卵巣機能に影響を与えることは少ないと思います。気になるのは、片側卵巣に癒着が見られるという状況。もしかしたら、子宮腺筋症と合併してチョコレート囊胞があり、それが卵巣にダメージを与えて卵胞が育ちにくいのかも しれません。
ソルトさんはご自身の希望でAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値を調べていないそうですが、現在の卵巣の予備能はもちろん、今後の治療方針を決めていくためにできれば測ったほうがいいと思います。おそらく採卵前にエコーで診て、これから育ちそうな小さな卵胞がどれくらい見えているかチェックして誘発法を決めていると思われますが、AMH値も参考にしたほうがよりソルトさんに合った方法が見つかるかもしれません。
次回はどのような排卵誘発法を選べばよ いのでしょうか。
吉田先生 「なるべく多く卵子を確保しておきたい」というお気持ちはわかりますが、一度にたくさん採るという形ではなく、数は少ないけれど低刺激で複数回採卵をしていくという考え方もあると思います。
AMH値を測って卵巣機能の低下が見られた場合、たくさん卵子を採ろうと強い刺激をしても反応せず、体の負担ばかり増えてしまうこともあります。優しい刺激でしっかり育つべき本当によい卵子を1回に1個ずつ採っていったほうが、妊娠の確実性が上がるということもあるでしょう。そのよ うに考えれば、今行っている方法でも悪くないと思います。
まだ 34 歳なので卵子の質自体はそれほど 落ちていないはず。今のうちに集中して治療を行えば妊娠の可能性は十分あるのでは。AMH検査を受けるかどうかも含め、先生とよく相談して今後の方針を決めていっていただけたらと思います。