みんなが知りたい!

検索上位 キーワードをドクター が解説 !

不妊に関して、みんなどんなことを知りたいと思っているのでしょうか。

Webジネコなどで多く検索されているキーワードをピックアップ!

テーマ別にドクターに詳しく解説していただきました。

 

蔵本 武志 先生 山口県柳井市出身。1979年久留米大学医学部卒業。 1985年山口大学大学院修了。医学博士。1995年6 月蔵本ウイメンズクリニック開院。開院当時より、体外受精、 顕微授精をはじめ、一般不妊治療や生殖医療の研究を広 く行う。山口大学非常勤講師、久留米大学医学部臨床 教授。今秋は海外への学会出張等で多忙な先生ですが、 少しの時間をやりくりしてミュージカル鑑賞に出かけることも あるそう。「同じミュージカルでも観るごとに違う発見がある」 と、かなりミュージカルに精通されている様子でした。次回 は海外でのミュージカル鑑賞のお話が聞けそうです。

黄体機能不全 改善

黄体機能不全の状態と、 治療方法を教えて

黄体機能不全とは、黄体から分泌されるプロゲステロンが十分でないために妊娠しにくい状態をいいます。

また、日本産科婦人科学会の定義でも、「妊卵(受精卵)の着床障害による不妊原因として重要である」とされています。

ただし、黄体機能不全の診断・検査方法は確立されておらず、アメリカ生殖医学会(ASRM)からは、オフィシャルに「黄体機能不全は診断できない」との見解が示されています。

理由としては、黄体期のプロゲステロンの分泌が一定でなく、時間によりその値が数倍も違うためです。

また黄体機能不全は、卵胞発育不全や、高プロラクチン血症、甲状腺機能異常などの病態によって、十分なプロゲステロンが分泌されないために引き起こされることもあります。

この場合は、これら疾患の治療が優先されますし、治療を進めるなかで、改善されることもあります。

体外受精などで採卵手術を行う場合も、卵胞液を吸引して卵子を取り出す操作を行う際に、卵胞内の顆粒膜細胞(いずれ黄体となる細胞)も吸引して取り出すため、黄体形成が不十分となり、機能不全となることもあります。

そのため、体外受精時には、黄体ホルモンを補充する必要があります。

治療として、卵胞発育不全に対しては、排卵誘発を行い、卵胞発育の促進を図ることが有効ですし、さらに高温相が 10 日未満と短い 場合には、黄体期に黄体ホルモン剤を補充することもあります。

腟坐薬

不妊治療で処方される 「腟坐薬」ってどんなもの?

体外受精の場合、黄体ホルモンの補充は欠かせません。

黄体ホルモンの補充によって、子宮内膜を着床しやすい環境へと変化させることができます。

補充方法はさまざまで、注射、内服、腟坐薬 などがあります。

日本おいては、2014年に天然型黄体ホルモンである腟坐薬が発売されました。

それまでは多くの国内の施設で、黄体ホルモンの注射や合成黄体ホルモンを内服で投与するのが主流でした。

合成黄体ホルモンも天然型黄体ホルモンも臨床的妊娠率は変わらないのですが、胎児への安全性を考えると天然型黄体ホルモンのほうが良いとされています。

腟坐薬は、注射や内服薬と比較して子宮内膜 への局所移行性が非常に優れており(この現象は子宮初回通過効果と呼ばれています)、今や黄体ホルモンの補充においては、腟坐薬での治療が主流となっています。

また、腟坐薬は以前からも治療に使われてき ましたが、使い勝手などの面で課題もありました。

薬剤が脂溶性なので、腟外に漏れ出ることで不快感がありますし、痛みや痒みを伴うこともあります。

今はそれら課題もずいぶん改善され、効果面と合わせて、患者様側のメリットも大きいといえます。

これらを総合的に考えますと、今後国内にお ける胚移植時の黄体補充は、安全性・有効性・利便性の面から、プロゲステロン腟坐薬が中心を占めるようになるのではないかと考えられています。

※経腟投与で使用される薬剤を総じて「腟剤」と呼びます。 便宜上、本誌面では、「腟坐薬」を広義に「腟剤」と同義と してお答えしています。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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