AMHの数値が0.16以下

AMH値が0.16以下。

体外受精人工授精、 どちらを選択したらいい?

岡 親弘 先生 慶應義塾大学医学部卒業。その後、同大学産婦人科に入局。不 妊症・不育症の研究治療を行い、「ローズレディースクリニック等々力」 院長を経て、2000 年に不妊症専門クリニック「東京 HARTクリニッ ク」を開院。2005 年アメリカ生殖医学会にて、ヒト胚盤胞のガラス 化保存法とAS の有効性についてHARTグループとして発表し、日 本人で初めて表彰される。早期の妊娠を目標に、お一人ひとりを的 確に診断。十分時間をかけて説明を行い、理解していただいたうえで、 その方にとって最良の治療を提供することを理念としています。
ひろみさん(38歳)からの相談 Q.過去に出産、中絶、子宮外妊娠の経験があります。約2年間、不妊治療クリニ ックに通っており、これまでタイミング法4回、人工授精3回、体外受精はグレ ード3の新鮮胚移植、グレード5AAの凍結胚移植を行って、すべて陰性に終わ っています。AMHの値は0.16以下で、先生から「この数値だと諦める人もい ます」といわれました。確かに採卵をしても2個しか採れていませんが、まだ諦 めたくありません。次もまた採卵からになりますが、培養士さんの意見では「振 りかけただけでちゃんと受精してくれるから、体外受精じゃなくてもいけるので は?」とのこと。このような場合、次回はやはり体外受精? それともホルモン 補充をしながら人工授精をするか迷っています。夫の精子には問題がありませ ん。今後、どのような方法でチャレンジすればいいでしょうか?

AMHの値から考えると

すでに体外受精までステップアップされていますが、次は人工授精に戻るという選 択もあるのでしょうか。
岡先生 人工授精にステップダウンすることもありかもしれませんが、一つ引っかかるのは、現在卵管の状態がどうなっているかということです。
この方は過去に子宮外妊娠を経験されていますね。子宮卵管造影検査では詰まりがないと診断されたようですが、もしかしたら子宮外妊娠時の炎症により卵管内の絨毛が剥がれてしまい、卵管の機能がうまく働かなくなっているかもしれません。
これまでタイミング法や人工授精にトライして結果が出なかったということは、以前と比べて、卵管の条件が変わってしまった可能性も考えられます。
また、AMH(抗ミュラー管ホルモン)の値が0・ 16ng/ml 以下というのは、この年代にしてはかなり低い数値。
卵巣の予備能が落ちてきているので、急ぐという意味でも、やはり次回も体外受精で臨んだほうがいいのではないかと思います。

予備能が落ちてきていると

体外受精を続けていく場合、排卵誘発法など、どのようなやり方が望ましいと思わ れますか?
岡先生 排卵誘発についてですが、卵子が採れれば何でもいいというものではありません。
卵巣の予備能が落ちてきている人は、刺激を強くして、脳から分泌されるFSHの値を上げすぎてしまうと、逆に成熟する卵胞が増えなくなってしまいます。
まず、クロミッドⓇなど飲み薬の排卵誘発剤で出だしをつくり、卵胞が3個以上育ちそうだったら採卵に向けて注射を加えていく。
このような方は一度にたくさん卵子を採るのは難しいので、卵巣の状況を見ながら3個以上採れるようにもっていくというのがベストだと思います。

着床前スクリーニング

受精卵が3個でも妊娠することは可能なのでしょうか。
岡先生 PGS(着床前遺伝子スクリーニング)のデータなどから考えると、 38 歳と いうご年齢でグレードのいい胚盤胞を戻せば、3個のうち1個は妊娠、そして出産まで到達できる可能性があるかもしれません。
理想としては前回のような5AA程度のグレードの胚盤胞を3個くらいためて、排卵周期で移植していく。
前回はホルモン補充周期だったようですが、自然妊娠を経験している方は排卵周期で戻すほうが合っていることも考えられます。
やり方を変えてみるのも一つの方法だと思いますね。
年齢がまだ 35 歳前後なら、一般不妊治療 に戻るなど、いろいろ試してみてもいいかもしれませんが、 38 歳を超えて、さらに平 均より卵巣予備能が低下しているのなら、とにかく急ぐことが大切。
40 代に入ると、 今以上にいい受精卵ができにくくなってしまいます。
出産までをゴールと考え、スピーディに治療を進めていただきたいですね。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。