移植後の出血を繰り返します。今後どう治療すればいい?

凍結胚移植後に出血。

ホルモン補充周期法が 合わないのでしょうか?

神谷 博文 先生 札幌医科大学卒業。同大学産婦人科学講座、第一病理学講座に入 局後、斗南病院にて産婦人科科長を10年間務める。1998年、神谷 レディースクリニックを開業。3月には理事長を務める日本A-PARTの学 術講演会が東京で、4月には電子カルテの研究会「日本生殖医療支援 システム研究会」が札幌で開催。5月にはJISART(日本生殖補助医 療標準化機関)の総会があり、この春は忙しい毎日が続いたそう。
小太郎さん(36歳)からの相談 Q.多嚢胞性卵巣症候群のため、ホルモン補充周期法での凍結胚移植をしています。 しかし、胚盤胞移植後5日目から徐々に出血が始まり、8日目頃には生理並み の出血になり妊娠判定は陰性でした。3回の移植で、3回とも同じような経過を たどっています。ホルモン補充周期法のスケジュールは、生理前からスプレキュ アⓇ(GnRHアゴニスト)、D6からエストラーナテープⓇ(エストロゲン)、D21 からルティナスⓇ腟錠(黄体ホルモン)を併用し、移植はD26に行っています。 移植前の子宮内膜や移植時の血液検査は問題ありませんでした。ただ、私の場 合、すぐに子宮内膜が厚くなります。ホルモン補充周期法が合わない体質など はあるのでしょうか。今後、どんな治療をしていけばいいですか?

凍結胚盤胞移植

まず、凍結胚移植について教えてください。
神谷先生 体外受精(ART)でできた受精卵(胚)を凍結して保存し、融解後、胚移植するのが凍結胚移植です。
2013年は全出生児の 4.1 %、 24 ・5人に1人がAR Tによる出産と報告されています。
そして、そのうちの 70 %以上が凍結胚移植によるも のです。
採卵時の周期で培養から胚移植までを行 う新鮮胚移植に比べて、凍結胚移植は受精卵の凍結保存を行うため、子宮内膜とホルモンの状態がよいタイミングで胚移植をすることができます。
新鮮胚移植の場合は、ホルモンバランスの乱れなどで移植のタイミングが合わず着床しにくいことがあり、凍結胚移植のほうが妊娠率が高くなるため、多くのクリニックが凍結胚移植での治療を行っています。
患者さんにとっても、余剰胚があれば一度の採卵で複数回の移植ができ、経済的、精神的、肉体的負担の軽減につながります。
小太郎さんは多嚢胞性卵巣症候群とのことですから、排卵誘発を行った場合に卵巣過剰刺激症候群になる可能性があり、その対策としても凍結胚移植が適しています。

ホルモン補充周期のメリット

小太郎さんは、ホルモン補充周期法での凍結胚移植をしていますが、これについてはどう思われますか?
神谷先生 凍結胚移植では、自然周期法とホルモン補充周期法があります。
自然周期法はホルモン補充を行わずに自然排卵の後に胚移植をする方法。
ホルモン補充周期法はエストロゲン(卵胞ホルモン)と黄体ホルモンを投与して子宮内膜の調整をし、着床しやすい状態にして胚移植を行う方法。
自然周期法では排卵日を特定するために何度も通院する必要がありますが、ホルモン補充周期法では移植日を任意に調整することができます。
特に働く女性の場合、仕事と治療の両立がしやすいメリットがあります。
小太郎さんの場合は、多嚢胞性卵巣症候群で排卵が起こりにくい状態ですから、ホルモン補充周期法での治療がされているのでしょう。
一般的には、ホルモン補充周期法で妊娠しなければ、自然周期方法に戻す方法もあります。

補充周期に気を付けること

小太郎さんは、ホルモン補充周期法が合わないのではと不安に思われているようです。
神谷先生 小太郎さんのご質問の中で気になるのが「すぐに子宮内膜が厚くなる」という点。
もしかすると、子宮内膜のポリープや子宮内膜増殖症があるかもしれません。
子宮頸管にポリープがあれば、それも出血の原因になります。
一度、子宮鏡検査や、移植日や移植日から5日前後の時期のエストロゲン、黄体ホルモンの値を検査することをおすすめします。
また、使用する薬を変えてみる方法も。
エストラーナテープⓇで補っているエストロゲンは経口剤や塗布剤が、ルティナスⓇ腟錠などの黄体ホルモンには経口剤や注射剤もあるので試してみるのもいいでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。