臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外 受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995年より 現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。改装したばかりの院内 は、まるでホテルのロビーのようにゆったり落ち着けて快適。本格的 なコーヒーも楽しめるので、患者さんは待ち時間も以前よりリラックスさ れているとか。
排卵検査薬の陽性反応が 薄いのはホルモン値が 低いからですか?
ゆっかさん(28歳)からの相談 Q.1年近くタイミング療法を行っています。卵胞の成長が遅く、排卵日までが長く てクロミッド Ⓡを使うようになりました。基礎体温は一応2相になっているのです が、だらだらと高温に移ることが多いです。前回と今回の周期は自分でも排卵検 査薬を使ってみたのですが、どちらの周期も陽性反応は薄くしか出なくて、今ま で排卵していなかったのではないかと不安になってきました。LHサージの判定 が薄くしか出ない場合、ホルモン値が低いかと思うのですが、自分の場合、どう なのでしょうか。排卵が終わってすぐに測った検査結果は[エストラジオール/ 230、プロゲステロン/13.6、LH/9.6、FSH/5.2]でした。先生からは「問 題ない」といわれましたが、本当に大丈夫なのでしょうか。現在、クロミッドⓇを 服用していますが、ホルモン注射を加えてもらったほうがいいですか?
LHのピーク?
「LHの値が低いから排卵していないかも」と心配されていますが。
臼井先生 ホルモン値の計測結果について、排卵直後とありますが、プロゲステロン(黄体ホルモン)の値が 13 ・6 mIU /ml もあるのは排卵日からだいぶ経っているということ。
1週間ほど後の数値なのではないでしょうか。
「LHの値が低いから」というより、LHのピークがつかみきれていない気がしますね。
排卵検査薬で自分でも調べてみたけれど、陽性反応が薄くしか出なかったということです。
臼井先生 ピークをつかむためにご自分でも検査薬を使うのはいいことだと思いますが、たまにゆっかさんのように薄くしか陽性反応が出ない人もいらっしゃいます。
大抵の方は1日1回できちんと反応が出ると思いますが、なかなか出ないという方は1日2回使ってみてはどうでしょうか。
当院ではすべての患者さんに朝・晩使用するようにお伝えしています。
ただし、保険適用でLHサージの尿検査をする場合は通院が前提で、検査薬は月に2回程度しか使えないという制約があるんですね。
費用の面では少しかかってしまいますが、もっと判定の精度を上げたいということでしたら、市販の排卵検査薬を購入して1日2回、何日か続けて使ってみてもいいかと思います。
LHサージのピークをつかんだり、そのピークが落ちていくのをみるためには、朝・晩使ったほうが有効でしょう。
それを参考にしながら、1日1回ではなく、何回か夫婦生活をもっていただく。
排卵日を予測
ほかにもっと正確に排卵日を予測する方法はありますか。
臼井先生 クロミッドⓇを処方されているようですから、病院で排卵の時期に採血してもらい、そこでわかりにくかったらLHサージを起こしてもらったほうがいいのではないでしょうか。
ゆっかさんの卵胞期のホルモン値をみると、逆に卵胞期のLH値が高めなのでPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)のパターンかもしれません。
PCOSぎみだと排卵しづらい方が多いので、タイミング療法でもしっかり排卵の状況を確認していったほうがいいかもしれませんね。
注射で卵胞が育ちすぎる?
ホルモン注射も加えていったほうがいいのでしょうか。
臼井先生 HMG注射による排卵誘発ということですね。
これはもう少しきちんと診ていかないと何ともいえません。
クロミッドⓇによる誘発で卵胞があまり育たなければ、さらに強い刺激の注射を、という選択肢もあるかもしれませんが、PCOSだとかえって卵胞が育ちすぎてしまう場合も。
数をコントロールできない一般不妊治療だと多胎のリスクなどもあるので、エコーで卵胞の状態をみて慎重に判断していくことになるかと思います。