どんな検査をするの?

不妊治療を受ける時、初めに行うのは今の体の状態を調べること。妊娠への障害となる原因がないかどうか、血液検査や超音波、レントゲンなどの検査を行います。受ける検査の種類や内容、検査の結果でどんなことがわかるのか、かしわざき産婦人科の柏崎祐士先生に詳しいお話を伺いました。

かしわざき産婦人科 柏崎 祐士 先生 京都府立医科大学医学部卒業。2000年まで日本大学板橋病院 で主に不妊治療に従事し、その間、米国エール大学医学部産婦人科で研修。その後、「かしわざき産婦人科」副院長に。日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科内視鏡学会認定医。

まずどんな検査をするのですか?

最初にスクリーニングとして、排卵しているかどうかを調べるために超音波検査と血液検査を行います。これは1 回ではなく、「生理中」「排卵の時 期」「排卵が終わって生理がくるまでの間」という3 回の時期にわたり実施。生理中は完全にホルモンがリセットされて元の状態に戻っているか、卵巣機能がきちんと働いているかどうかをみます。

排卵の時期はその時にホルモンの状態が排卵期の状態になっているかどうかを、排卵が終わって生理がくるまでの間は本当に排卵しているのかどうかを確認します。排卵後は黄体ホルモンというホルモンが分泌されますから、その数値が上がっていれば排卵したと判断します。

超音波検査では、排卵前になると卵胞といって卵巣内にある卵子を包んでいる袋が膨れて大きくなってきますから、それを画像で確認し、排卵準備状態になっているかどうかを判断します。

当院では血液検査の際にAMH( 抗ミュラー管ホルモン) の検査も実施。この検査により卵子の残存数の目安がわかったり、P C O S( 多囊胞性卵巣症候群) の傾向を調べられるので、治療方針を立てるのに参考にもなります。

卵管の機能や精子との相性を調べる検査も

血液検査や超音波で調べて排卵していたとしても、卵管が詰まっていたら卵子と精子は出会えません。そこで、機能的な異常を調べるために子宮卵管造影検査も行います。カテーテルを使って腟から子宮に造影剤を注入し、レントゲンの画像を見ながら卵管に通過性があるかどうかを観察。多少痛みを伴う検査ですが、2~3分程度なので多くの方は問題なく受けられています。

また、性交後にはヒューナーテストという検査も。排卵時は子宮の入り口から頸管粘液という分泌物がたくさん出てきて、その粘液と一緒になることで精子は受精する力をつけていきます。

排卵日近くに性交を行い、12時間以内に来院していただき、子宮頸部の精子の数と運動性を観察。精子が1匹もいないなど、結果が不良であれば抗精子抗体の存在なども考えられるので、タイミング法のステップを飛ばして人工授精から治療をスタートすることもあります。

 

不妊の原因は男女半々。男性の検査も必須です

妊娠を目指すなら女性だけでなく、男性の検査も必須です。不妊の原因は男女半々といわれていますから、男性も精子の状態を調べておきましょう。精液検査では精液を採取し、精液量や精子の濃度、運動率、奇形率などを調べます。検査前の禁欲期間は5~10日くらいがベスト。1~2日だと薄くなってしまうし、溜めすぎると悪い精子もたくさん混じってしまいます。

精子の状態にはムラがあるので、1回目の検査で不良だったら再検査を。何回検査しても精子が 1匹もいなかったら無精子症を疑い、血液検査で FSHというホルモンの値や染色体異常がないかどうかを調べます。

妊娠はご夫婦の協力があって成り立つもの。結果を知るのが怖いという男性もいるようですが、ご主人も積極的に検査や治療に参加してください。

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