心拍を確認したのに 1時間後に突然、 流産してしまいました

臼井 彰 先生 Q.東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外 受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995年 より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。これまで内科 があったスペースを改築して、不妊治療外来をさらに広々とリ ニューアル。全体で80坪ほどの広さに。待合いをゆったり、 男性不妊専門外来の診察室も患者さんが落ち着いて受診できる ようになりました。
ないとうさん(32歳)からの相談 Q.顕微授精胚盤胞移植で妊娠。下着にほんの少しシミがつく程度の茶褐色の出 血があり、出血の3日後に気になって看護師さんに相談したところ、「妊娠初期 の出血はよくあることで大丈夫だとは思うけれど、気になるようなら来てくださ い」といわれ、翌日、診てもらうことになりました。当日の朝、突然腹痛が起こり、 さらに出血も激しくなりだしたのですぐに診てもらったら、赤ちゃんの心拍は確 認でき、順調に成長しているようでした。診断としては「切迫流産のため、安 静にしていてください」とのこと。その帰り道に腹痛がひどくなり、出血。家の トイレで確認したら、10㎝程度の膜、そして3㎝の赤ちゃんがいました。1時 間前には心拍も元気に動いている姿が確認できたのに、そのあと突然、完全に 流産してしまうことはあるのでしょうか。医師は予測できなかった?

切迫流産とは

妊娠初期の出血、また、切迫流産というの はよくあることなのでしょうか。
臼井先生 切迫流産というのは流産する可 能性がある出血や腹痛のことですが、珍し いケースではありません。
ないとうさんは 出血があったということですが、出血があっ たからといって必ず流産してしまうわけで はなく、1日くらい安静にしていると止まっ てしまう人もいます。
顕微授精のあとに黄体補充の座薬などを使っていると、それが 刺激になって出血する方も。
その後、何事 もなく終わっている方も多いですね。
ないとうさんの場合、赤ちゃんの心拍はき ちんと確認できたということですが。
臼井先生 通常、心拍が確認できて、赤ちゃ んが順調に成長していれば大丈夫かなと 思っているので、これは稀なケースなので はないでしょうか。
ほんの1時間後のこと なので戸惑われたと思うのですが、この状 況で流産を予測するのは難しいことだと思 います。

診察後の安静について

「診察の時にすぐに帰宅せず、病院で安静 にしていれば防げたかもしれない」と後悔 されているようです。
臼井先生 確かにこのような兆候が出た ら無理はしないほうがいいと思いますが、 診察後に動いてしまったから流産したと いうことはないと思います。
以前は入院 をすすめていたこともあったようですが、 最近、それはあまり意義がないというこ とがわかってきました。
「安静にしていた ほうがいい」というのは、この時期はそ れ以外になすすべがないからなんですね。
24 週とか 30 週とか、もっと週数が大きい 時期ならば早く取り出すなど処置や治療 がありますが、初期の場合だと何をやっ ても効果はありません。
ですから、あまりご自身を責めないで いただきたいと思います。
階段から激しく転落したり、事故に遭うなど、よほど の衝撃がない限り、物理的な原因で流産 してしまうということはないはず。
想像 以上に赤ちゃんはお腹の中でしっかり守 られていますから。
「安静にする=寝たきり」ということでは なく、不要な遠出や激しい運動を避けるな ど、普段より少しおとなしくしている程度 と思っていただいていいのでは。
生理の時 と同程度の気遣いで構わないと思います。

流産の理由は染色体異常

では、不可抗力で赤ちゃんが突然流れてし まったということですね。
臼井先生 そうですね。
流産はお母さんの せいではなく、そのほとんどが赤ちゃん 側の染色体異常が原因です。
当院でも「何 をやっても結果は変わらなかったはずだ から、ご自分を責めないで。次は大丈夫な ことがほとんどなので次回頑張りましょ う」と患者さんにお話ししています。
まだ凍結胚が8個残っているとのこと。
「次を戻してもまた流産するのでは?」と 不安があるようですが、同じ周期に採っ ても一つひとつの卵の質や運命は異なり ます。
心配されることなく、次の移植に 向けて前向きに気持ちを切り替えていた だきたいと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。