腫れもあって、無排卵。

卵巣の状態が悪くても、 凍結胚移植して大丈夫?

次に備えて採卵もしておきたいのに、卵巣機能が低下。

この状態で大切な凍結胚を移植しても問題ありませんか?

吉田レディースクリニックの吉田先生に伺いました。

 
吉田 仁秋 先生 獨協医科大学卒業。東北大学医学部産婦人科学教室入局、不妊・ 体外受精チーム研究室へ。米国マイアミ大学留学後、竹田総合 病院産婦人科部長、東北公済病院医長を経て、吉田レディースク リニック開設。この夏からは新しい医師が2名加わって新体制に。 「女性医師も入り、雰囲気がますます明るくなったんじゃないかな (笑)」と、吉田先生も笑顔。

ドクターアドバイス

●移植か、採卵か、どちらか優先順位を決める
●自然周期ではなく、ホルモン補充周期も検討
●治療を休む間はストレスを溜めずに心のケアを
Rinさん(37歳)からの相談 Q.今年3月にアンタゴニスト法で体外受精をし、3つ受精卵ができ ました。1つはその時に移植しましたがうまくいかず、もう1つは5 月に凍結胚移植しましたが4週目に生理がきてしまいました。 7月に採卵と凍結胚移植を予定していたのですが、6月の検査で は無排卵だった可能性があり、卵巣も少し腫れているとのことで した。 夏休みもあり、担当医は「次の採卵は9月まで時間を置いた方が いい」と言いますが、7月に凍結胚移植し、結果が良くなかった場 合は翌月に採卵というのは難しいのでしょうか? また、卵巣の 状態が悪くても妊娠の可能性はありますか?

●これまでの治療データ

検査・ 治療歴

不妊治療歴2年。タイミングを約半年、人工授精を3回。そ の後、治療を休んでいる期間に自然妊娠するも8週目に稽留 流産。今年3月に体外受精、5月に凍結胚移植。

現在の 治療方針

1つだけ残っている凍結胚をいつ移植するか、 また次に備えての採卵をいつするか検討中。

精子 データ

特に問題なし
凍結胚移植予定の前月、無排卵で卵巣が少し腫れていたことを心配されています。
吉田先生 胚移植するにあたっては、卵巣の状態と子宮の状態とがともに整っているのが理想ではありますが、アンバランスになることもよくあることです。
採卵も予定されていたので卵巣の状態も気になるでしょうが、子宮内膜さえきちんと黄体期の良い状態になっていれば、卵巣の状態が少々悪くても、着床は十分に見込めチョコレート嚢胞を持った患者さんも胚移植後の妊娠を数多く経験しています。
ただ、質問者の R i n さんの場合、ご質問内容から推測するに、自然周期にこだわられているように見受けられます。
R i n さんご自身のお考えか、担当医師の方針かはわかりかねますが、子宮内膜を着床しやすい状態にするためにも、今後採卵しやすくするためにも、ホルモン補充を考えてはいかがでしょうか。
ホルモン補充では、エストロゲン製剤などを用います。
内服薬、貼り薬など、さまざまなタイプがありますので、使いやすいものを選ばれるといいでしょう。
エストロゲンは内膜を育て、プロゲステロンは、子宮内膜をふかふかにして、着床しやすい環境をつくる作用があります。
当クリニックでは、ほとんどの患者さんがホルモン補充周期で、ファーストチョイスとなっています。
自然周期では、どうしても卵巣と子宮内膜とのバランスが崩れがちになりやすいからです。
特に年齢の高い患者さんには、ホルモン補充周期をおすすめします。
また、自然周期の場合でも、黄体ホルモンの補充はしています。

L U F (黄体化未破裂卵胞)の可能性

無排卵、卵巣が腫れた原因として、考えられるのは?
吉田先生 排卵とは、成熟した卵胞が弾けて卵子を放出すること。
つまり、風船のように膨らんだ卵胞がパンと弾け、中から卵子が飛び出すという現象なのですが、うまく卵胞が弾けずにそのまま残ってしまうと、卵巣が腫れる原因となり、これを L U F (黄体化未破裂卵胞)といいます。
健康な女性でも、ときどきは起こり得ることです。
しかし、 L U F であっても体温上昇もあり、黄体ホルモンが正常に分泌され、子宮内膜は着床に備えての環境づくりを始める場合もあります。
その時点でHCGホルモン製剤などを投与すれば、子宮内膜を良い状態のまま維持することが可能です。
胚移植に関していえば、重要視するべきはあくまでも子宮内膜の状態です。
吉田先生は、子宮内膜の状態をどのように判断されていますか。
吉田先生 卵胞期の内膜は超音波上リーフ(葉)状になっているのですが、黄体期になると擦りガラス状へと変化します。
きれいな擦りガラス状になっているかどうか、また施設によって多少違うのですが、当クリニックでは内膜の厚さが8ミリ以上であることを基準にしています。
子宮内膜だけでなく、「インプランテーションウィンドウ」と呼ばれる着床にもっとも適した時期なども見極めて胚移植を行っています。

移植?採卵?優先順位を考える

今後について、アドバイスを。
吉田先生 胚移植がうまくいかなかった翌月でも採卵は可能ですが、また LUF であることも考えられます。
その場合、卵胞が弾けやすくなる薬を投与するか、卵巣の腫れの原因となっている卵胞液という液体を抜いて次に備えるか、といった処置をとります。
液体を抜くのは採卵と同じ方法ですので、さほど大変な処置ではありません。
R i n さんは、凍結胚移植も早くした い、採卵も早くしたいと考えていらっしゃるようですが、どちらを優先するか、今一度検討されてみてはいかがでしょうか。
胚移植を優先するのならば、子宮内膜の状態を良くすることに徹底する。採卵を優先するのならば、 L U F を防ぐ処置をする、と治療の方針も異なります。
いずれにせよ、ホルモン補充周期も検討されるといいでしょう。
「もう一周期、体を整えてから」とい う選択をされたなら、その間はクヨクヨと悩まず、心身ともに健康的な生活を送ることです。
ストレスは確実に体に害を与えるので、特に心のケアを大切にしてください。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。