黄体ホルモンの正常値や妊娠検査薬の使い方

黄体ホルモンの正常値や 妊娠検査薬の使い方を 教えてください

不妊治療を始めたばかりの時期は不安や疑問がいっぱい。

ここでは黄体ホルモンの正常値と妊娠検査薬の使い方について、 秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生にお話を伺いました。

秋山 芳晃 先生 東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国立 大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊症 や不育症診療に力を入れた病院として新たに開業。O型・やぎ座。 診療所建て替えのため、現在、すぐ近くのマンション内に仮移転 中。ラボなど関連設備は診療室と同フロアに設置できたため不 便はなく、待合いも以前と変わらず快適に過ごせるスペースを確 保。来年2月のリニューアルオープンが楽しみです。

ドクターアドバイス

●黄体ホルモン値は10ng/ml以上が正常範囲
●数値が低ければ黄体ホルモン補充が必要に
●妊娠検査薬は排卵から14日後に実施を
カメさん(29歳)からの投稿 Q.先月中旬に初めて不妊治療専門クリニックを受診しました。黄体ホルモンの値を11月9日に調べるために11月5日よりルトラールⓇを処方 され、現在服用中です。11月9日の採血で、黄体ホルモンの数値がどう なっていれば異常なしなのでしょうか? また、生理予定日は11月15 日なのですが、いつ妊娠検査薬で調べればいいのでしょうか。むしろ、 いつからなら検査できますか? 生理予定日当日から検査のできる キットが手元にあるのですが、それを使用してみてもいいでしょうか。

●これまでの治療データ

検査・ 治療歴

先月中旬より不妊に関する検査を開始。
今のところ、子宮卵 管造影検査、ヒューナーテスト、その他スクリーニング検査 では異常は見つからなかったが、生理後に時折出血すること があり、医師からは「子宮内膜にポリープがあり、そこから 性交後などに出血している可能性がある」とのこと。
「さらに 精密に調べる必要があるかもしれない」と説明されたが、ま だ詳しい検査はしていない。

現在の 治療方針

タイミング療法

黄体ホルモンの正常値

黄体ホルモンの数値はどの程度であれば正 常といえるのでしょうか。
秋山先生 黄体ホルモンは黄体期中期(基礎体温の高温相半ばくらい)に 10ng / mL 以上 あれば正常範囲内といわれています。
排卵 の確認後、5日目から7日目に1回採血し て判定するのが一般的だと思いますが、排 卵後5日から9日の間に何回か検査をする という方法もあります。
8とか5とか基準より低い数値が出る方 もいますが、1周期ではわからないことも あるのでまた再検査をする場合もあります し、測った周期の数値が悪ければ次の周期 はもう検査をせずに黄体ホルモンを補充し ていくこともあります。
黄体ホルモンの数値を調べるためにルト ラール Ⓡ を服用されているということですが。
秋山先生 ルトラール Ⓡ は黄体ホルモン製剤 です。
補充のために服用するのであれば理 解できますが、「検査のために」というのは 少し疑問に感じますね。
もしかしたら基礎体温の時点で、高温相が短い、はっきりし ないなど黄体機能不全を疑わせるような所 見がほかにあって処方されたのでしょうか。
通常では、検査の結果、黄体機能不全の基 準に当てはまるようであれば薬で補充して いくのが一般的な順序だと思います。
ご担当の先生は基礎体温で判断されたか、 もしくは正常値の基準とされている 10 では 足りない、もっと高く、たとえば 15 とか 20 とか、ある目標を目指してすでにお薬を出 しているのかもしれません。

黄体機能不全

数値が 10 以下であれば黄体機能不全と診断 されるのですね。
秋山先生 「基礎体温の高温相が 10 日未満」 「黄体期中期の血中の黄体ホルモン値が10ng / mL 未満」「子宮内膜日付診の異常」の3 つの条件のいずれかに当てはまれば、黄体機能不全と診断されます。
黄体機能不全と診断されると黄体ホルモン の補充が必要になってくるのですか?
秋山先生 黄体ホルモンが低い状態がずっと 続いたり、十分に数値が上がらないと子宮内膜の環境が悪くなり、受精卵が着床しづらく なると考えられています。
少しでも妊娠の条 件を良くするために、当院では黄体機能不全 の方には黄体ホルモン製剤を用いた黄体ホル モン補充を行うようにしています。
基本的には機能がうまく働かない場合に 補充を行うようにしていますが、そのよう な基準に当てはまらなくても、患者さんが 黄体ホルモン補充を希望されたり、「何でもいいから、少しでも妊娠に良さそうなこと をしてください」というご要望を受けた場 合はお薬をお出しすることもあります。

黄体ホルモンの副作用

正常の範囲内の方が黄体ホルモン製剤を服 用しても問題はないのでしょうか。
秋山先生 副作用ではないのですが、時々、 ホルモンの作用が強く出過ぎて体がだるく なったり、むくんだりする方もいらっしゃい ますが、大量に投与するわけではありません し、使用する期間が限定的なので、体への影 響を心配されることはないと思います。
不妊治療を始められたばかりの頃は薬剤の 使用などに不安を抱かれることもあるかもしれませんが、医療側は妊娠やお体にとっ て決してマイナスになる使い方はしており ませんので、その点は安心していただきた いと思います。

妊娠検査薬について

もう一つ、市販の妊娠検査薬についての質問 ですが、正しい使い方を教えてください。
秋山先生 妊娠反応はHCGという妊娠性 のホルモンに対する検査で、妊娠していた 場合、排卵から 14 日以上経過していれば陽 性になるはずです。
その感度もいろいろあ ると思うのですが、一般に市販されている もので感度の高い検査薬(低いホルモンに 反応する)であれば、排卵から 12 日ほどで 陽性になることが多いようですね。
生理予定日とは一般的に排卵から 14 日目 くらいと考えられますので、順調に排卵し て妊娠されていれば、生理予定日でも陽性 反応が出る可能性が高いということになり ます。
しかしながら、妊娠のホルモンはそ の妊娠の状態によっては上昇が遅れる場合 もありますので、あまり早く調べてしまう と、本当は妊娠しているのにもかかわらず、その反応が出なくて誤った判断をしてしま うことも。
そのため、一般的には「生理予 定日の1週間後」まで待って調べるのが適 当とされているんですね。
カメさんの場合も、先生から排卵日を推 定していただいて、その日に性交渉をお持 ちになっているのであれば、そこから 14 日 後に妊娠検査を実施されてみるとよいので はないかと思います。
妊娠検査薬は「風邪を引いて薬を飲みた い」「風疹のワクチンを受けたい」時などに 早めに妊娠の有無を調べることができて大 変便利ですが、妊娠反応と妊娠の経過はま た別の話になります。
妊娠反応が出たから といって、その後順調に経過していくとは 限りません。
反応が出た後に生理の出血の ような形で初期の流産を起こしてしまうと いうケースもあるので、安全かつ確実に妊 娠・出産を望まれるようでしたら、やはり 医療機関でもきちんと診てもらいながら進 めていくことが大切だと思います。
※子宮内膜日付診:高温相中期に子宮内膜の組織を採取・観察し、排卵後何日目の状態かを診断する。実際の排卵からの日数との間に2日以上のずれがあれば異常。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。