タイミングを合わせているのに妊娠に至りません

タイミングを 合わせているのに 妊娠に至りません

タイミング指導で不妊治療を始めて半年。

人工授精へのステップアップも考えるべきでしょうか……。

久保みずきレディースクリニックの石原尚徳先生に伺いました。

石原 尚徳 先生 高知医科大学卒業。神戸大学医学部大学院修了。兵庫県立成人 病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2012年より久 保みずきレディースクリニック菅原記念診療所院長。不妊治療か ら周産期・小児医療まで、地域に根ざした総合的なサポート体制 が整う同クリニックで、不妊治療/婦人科、産科の外来を担当す る。多忙な毎日のなか、時間をみつけて、健康維持のための水泳、 エクササイズなどを欠かさない先生。忙しくてもできるこまめな 運動習慣を大切にしている先生をぜひ見習いたいです。

ドクターアドバイス

●早めに不妊治療の専門医を受診
●人工授精は3回までなど、回数を決めて
●どこまで治療するか夫婦でよく話し合う
きゅうさん(39歳)からの投稿 Q.初めての質問をさせていただきます。よろしくお願いします。 現在タイミング指導を受け半年が過ぎました。卵管造影検査も他の検査 も夫婦ともに異常なしと出ています。ですが、タイミングをしっかり合わ せているのにリセットしてしまうんです。タイミングが合わない、というこ とでしょうか? 考えても納得できないまま毎日悲しいです。通院先の先 生は希望するなら、人工授精のできる病院に紹介しますよ~とのこと。 人工授精にステップアップしたらもう少し妊娠する確率は上がるので しょうか?

●これまでの治療データ

検査・ 治療歴

ホルモン検査、子宮卵管造影検査、精液検査。

不妊の原因と なる病名

原因不明

現在の 治療方針

タイミング指導、卵胞のサイズ確認。精神的に悩み、ホルモ ンバランスが崩れて体温が上がらないときに一度ルトラールⓇ が出されたことあり。

精子 データ

4ml、70個(1マス)、80

年齢と選択する治療法

タイミング指導を始めて半年が過ぎたとのこ と。担当医に人工授精をすすめられたものの、 戸惑っていらっしゃるようです。
石原先生 一番気になるのは、この方の 39 歳 という年齢ですね。
文面では、今かかってお られる病院は人工授精ができる施設ではない みたいですし、担当医がおっしゃるように、 早めに人工授精や体外受精などの治療ができ る、不妊治療の専門クリニックを受診される ことをおすすめします。
ご主人の精液検査には問題がないように見 受けられます。
年齢を考えますと、タイミン グ指導を受けられてから半年がたっています し、ヒ ューナー検査をして精子の数が少なけ れば、人工授精へステップアップするのがい いでしょう。
そしてヒューナー検査にまった く問題がないのであれば、卵管や受精に障害 のある可能性もありますので、体外受精を視 野に入れる時期かもしれません。
最初から年齢のことを申し上げましたが、 基本的に 40 歳を過ぎると、人工授精の妊娠率 は数パーセントとなります。
40 〜 41 歳ですと、 体外受精で何とか 15 〜 20 %くらいの妊娠率に なりますので、やはり残された時間が大切な のかなと思います。
今まで妊娠にいたらなかったのは、決して タイミングが合っていないからという理由だ けではなく、加齢による卵子の質の低下が、 受精や着床に影響している可能性がありま す。
体外受精にステップアップするにしても、 ご自身の卵子で妊娠を目指すことに変わりは ないのですから、やはり残された時間を考慮 して急がれたほうがいいと思います。

卵巣機能からの判断

治療を始めてまだ半年ですが、もうステップ アップを考えたほうがいいですか?
石原先生 不妊期間が1年間でステップアッ プを考えるというのは、 35 歳くらいまでの話 です。
37 〜 38 歳くらいになると、タイミング 指導に1年を費やすのは少し長いかなと思いますね。
ですから、きゅうさんの 39 歳という 年齢を考えると、卵巣予備能の指標となるホ ルモン値のAMHを測定し、卵巣機能の低下 が見られるようなら、早めに体外受精へ進ま れたほうがいいと思います。
最近は“卵子の老化”や“妊活”がメディ アで話題となる機会も増えたせいか、当院で は初診の受診年齢が下がってきているような 気がします。
20 代から 30 代の前半に来院され ると、治療法もいろいろな選択肢があります。
妊娠を望む女性の間で、卵子の老化が進む前 に受診、治療するという意識がだんだん浸透 してきたのかなと感じています。

理解してから治療する

人工授精だけでなく、早めに体外受精も視野 に入れたほうがいいのですね。
石原先生 “視野に入れる”というよりは、 体外受精についてきちんと理解していただい て、そのうえでしないならしないでいいし、 もしその内にと思っているのなら早めのほう がいい、ということです。
どこまで治療をす るのか、お二人でしっかり話し合って決める ことが大事なのです。
当院でも体外受精に関する治療内容につい て、インフォームド・コンセントを行ったう えで、やはりしないという選択をされるご夫 婦もいらっしゃいます。
治療を受けるとどれだけのメリットがあるのか、あるいはどんな リスクがあり、どれくらいのコストがかかる のか、それも全部知ったうえでどうするのか 決められたらいいと思います。
たまに「 43 歳 になったら体外受精をしようと思います」と いうような方もいらっしゃるんですけど、そ れでは遅すぎます。
“視野に入れる”のなら 最初から。あるいは、卵子の老化が進む前の もっと早い段階で検討しておきましょう。

体外受精の説明会にいこう

今後はどのように治療を進めたらよいで しょうか?
石原先生 最初に申し上げたように、少しで も早く不妊治療の専門施設を受診されることです。
ホルモン検査や子宮卵管造影検査など も受けていらっしゃるようですので、現在の 主治医の紹介状に、検査結果などをきちんと 付けてもらうといいでしょう。
人工授精を検討されているということです が、人工授精の妊娠率は、全国的な平均でだ いたい 10 %前後くらいになると思います。
施 設によって5〜 20 %くらいと幅があるので、 ホームページなどで実績を調べられるのもい いでしょう。
40 歳を過ぎると、人工授精の妊 娠率は一気に2〜3%に下がります。
転院後は3回くらい人工授精を行ってみて、 ダメならやはり体外受精を考えてみてくださ い。
正しい知識や情報を得るためにも、体外受精の説明会などにご夫婦で参加されるのも いいでしょう。
ヒューナー検査の結果がよく ないようでしたら、人工授精が功を奏してう まくいくかもしれません。
ただ3回以上にな ると成功する確率は低くなりますので、年齢 から考えても、時間や卵子がもったいないと 思います。
どこまで治療をするのか、ご夫婦 でよく話し合って決めることが大切です。
※ヒューナーテスト:性交後、子宮頸管粘液を採取して、精子と頸管粘液の相性を調べる検査。採取した粘液中に運動精子数など、精子の状態を顕微鏡で調べる。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。